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東京広告協会は12月上旬、首都圏の大学生1000人を対象に行った「人間関係とキャラクター」に関する調査結果を発表した。「自分自身のグループやコミュニティでキャラクターを使い分けているか」という問いに、「グループごとではないが、いくつかのキャラクターを使い分けている」(37.5%)、「グループごとにキャラクターを使い分けている」(15.5%)と、半数以上の大学生がキャやラクターを意識的に使い分けていると回答している。
キャラを使い分ける目的については、「自分の立ち位置を作るため」(49.9%)という回答が最も多く、次いで「周りの人に歩み寄るため」(34.5%)、「より多くの人と安定的な関係を築けることに魅力を感じるから」(32.1%)、「周囲から嫌われたくないため」(29.1%)など。主に、集団内でのコミュニケーションを円滑にするための“手段”として、「キャラを演じる・使い分ける」を実践している大学生が多いようだ。
また、「自身のキャラクター作りをどのように感じているか」という設問には、「キャラクター作りは成功していると思う」(26.4%)、「どちらかといえば、キャラクター作りは成功していると思う」(66.8%)と、9割以上が自分のキャラクターをうまく操ることができているとの実感があるようだ。
キャラを介したコミュニケーションは“絆”を感じさせる
多くの若者がすでに実践しているように、「キャラを演じること」は、集団生活を送る中でメリットをもたらす“戦略”と言えるだろう。精神科医の斎藤環氏の著書『キャラクター精神分析』(ちくま文庫)では、キャラを演じることのメリットを次のように記されている。
<その最大のものは、コミュニケーションの円滑化である。相手のキャラがわかればコミュニケーションのモードも自動的に定まる。(中略)さらにキャラという発明の良いところは、互いのキャラの再帰的な相互確認という行為だけで、親密なコミュニケーションを営んでいるかのような感覚をもたらしてくれる点だ。>
キャラを演じることで、お互いの性格を深く理解せずとも、滞りなくコミュニケーションを取ることが可能になる。さらに、とくに綿密な関係性を築かずとも、キャラを演じ合ったうえでのコミュニケーションは、双方に“友情”や“絆”などを疑似体験させてくれるという。
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