同意なき性行為による性被害をなくすには? 刑法の見直しと性教育の充実が不可欠

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同意のない性行為を「同意があった」と言い張る加害者達

 ここまでの話を踏まえ、スタジオゲストで憲法学者の木村草太氏は、「“意に反する”という要件でカバーするとしても、図々しい人は『自分のことを好きだと思ってた』とか『同意があると思ってた』と言うことで、開き直ることがあると思うんですよ。その場合、どうやってカバーしていくんですか」と踏み込んだ。加害者が「同意があった」と証言した場合、どのような対応が適切なのか。

 これに伊藤弁護士は、被害者が「無理やりだった」と感じていればただちに罪に問われる法律が、スウェーデンにはあると回答。

 「スウェーデンで新しい法律ができて、過失によるレイプの犯罪は処罰される。自分が『同意がある』と思っていても、被害者が『同意してない』という場合でも処罰するという法律ができた」(伊藤弁護士)

 伊藤弁護士は続けて、「(日本は)デリカシーのない人が勝ち、みたいな法制なんですね。『私は同意があった』と主張すれば通っちゃうので、法改正は必要」と、日本の刑法改正を、再び強調していた。

身体の仕組みを教えるだけが性教育ではない

 さらに伊藤弁護士は、性犯罪に関する刑法の見直しだけでなく、「欧米諸国では教育が進んでいまして、『同意のない性行為は止めましょう』ということを国が音頭を取って教育していくことをやっている」と、適切な性教育が性犯罪防止にとって重要だと説く。

 これに対して木村草太氏は、「性教育自体、学校は扱いたくない」と、教育現場での性教育の遅れを指摘。

 たしかに日本における性教育の遅れの実態については、株式会社TENGAが実施した調査に詳しい。同調査は世界様々な文化圏の18か国を網羅的に対象として実施したもので、18歳から74歳の13,039人にアンケートを取ったものだ。「子供の頃または十代の頃に学校現場で性教育を受けたことがあるか」という設問に対して、日本の解答は「はい」53%と、ほぼ半数に留まっている。

 諸外国と比べると、米63%、英57%、韓国56%となっており、全体的にはかばかしい結果は得られていない。しかし世界的な潮流と比べてみても、日本は遅れを取っているようなのだ。

 というのも、日本の回答を掘り下げてみると、「性教育の一部として取り上げられたトピック」として挙げられたのは「男性と女性のからだのつくり」(男性79%、女性81%)、「妊娠」(男性58%、女性56%)などと抽象的なものが多かった。他方で、「性交の同意」(男性20%、女性15%)、「性的暴力およびハラスメント」(男性7%、女性8%)といった回答は非常に少ない。実際的な性交についてや、トラブルを想定した知識を教わる機会は、少ないといっていいだろう。

 刑法の改正は、今後も見直すべき議題だ。しかし、卵か鶏か、といわれるように、ただ犯罪に対する罰則を強めるだけではなく、性教育によって幼少期から性行為への適切な意識を伝えていくことが不可欠だろう。潔癖に性行為を遠ざける教育ではなく、かといって過剰に実践的である必要もない。人と人が性的に交わるにあたってどのような配慮が適切かを、子供にも理解できるよう教えることができれば良いのではないだろうか。

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