長時間労働はパワハラである~電通過労自殺事件から3年を経て

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長時間労働規制になかなか踏み出せない

 それにしても、長時間労働でパワハラを働く企業は電通に限らない。私のところに持ち込まれる相談をみていても、長時間労働に従事させること、違法であることをわかっていて誤魔化そうとする手段を弄すること、そのため労働者が健康を害されてしまっていること、そんな事例が後を絶たない。

 そんな企業を取り締まる必要があるのではないか。

 そんな思いもあり、2018年の通常国会で議論された「働き方改革一括関連法」で長時間労働規制の議論がなされたときに期待をしたが、結果としては長時間労働規制は十分と言えない法律になってしまった。また、無制限な長時間労働が可能となる「高度プロフェッショナル制」が導入されてしまった。高橋さんのお母さんをはじめ、過労死した労働者の遺族が法成立に最後まで反対されていたのが印象的だった。

 このように、私たちの社会では、長時間労働規制になかなか踏み出せないのが実情である。

長時間労働によるパワハラの害悪から逃れるために

 しかし、長時間労働では効率的な仕事ができないのは、少し考えればわかることだろう。1日長く働いて翌日疲れを残すより、毎日一定の時間で働いたほうが、全体として効率的かつ効果的に仕事ができることは明らかである。長時間労働に従事しないドイツのGDPが日本のそれと遜色ないことを明らかにしている書籍もある。

 私たちは、個人の生活を大事にしたいはずだ。私自身もそういう考えだが、あまり必要性を感じない「ノミニケーション」に時間と費用を浪費するより、自分のスキルアップや趣味で時を過ごしたり、ゆったりした時間を設けたり、そういった時間の使い方を楽しむべきと考える人は多いのではないだろうか。

 こうした個人としての生活を尊重する思想からすれば、私たちはもっと長時間労働の規制に積極的であっていい。それこそが、自分の命と健康、人格を守ることにつながる。

 「働き方改革関連一括法」によって、使用者がタイムカードやパソコンのログオンログオフといった客観的な時間把握方法によって、労働時間を把握し管理することは、法律上の義務となった(2019年4月1日から施行)。

 また、36協定によって残業を命じることができる場合も、原則としてその上限は、1カ月45時間、年360時間である。

 会社のしかるべき部署がこの点について正しい認識を持つように工夫をしてみよう。

 たとえば、こんな努力が、パワハラのない社会をつくる第一歩である。

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