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人手不足が声高に叫ばれているが、とりわけ地方の人手不足は深刻な状況だ。総務省の「住民基本台帳人口移動報告」によれば、2017年に転入超過だった都道府県は東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県、福岡県、愛知県、大阪府の7都府県のみで、残りの40都道府県はおしなべて転出超過であることがわかった。
とくに東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)は22年連続の転入超過となっており、地方から都市部への流出傾向は顕著である。すなわち、地方の労働人口が減っているということだ。
人口が都市部に流れてしまう要因については、「良質な雇用機会の不足」(86.3%)と考える地方自治体が最も多く、2位以下の「社会インフラ(交通、病院、商店街等)の不足」(55.4%)、「娯楽施設の不足」(41.0%)を大きく引き離している(総務省「地域におけるICT 利活用の現状に関する調査研究」より)。
都市部には就職口はもとより業種の選択肢も多いため、地元での生活に愛着を覚えていても、やむを得ず都市部を目指す人も少なくないだろう。実際に、株式会社電通が20~34歳のUターン移住者682人を対象に実施した「全国 U ターン移住実態調査」によれば、Uターン移住に対する不安について、「求める職種の仕事がない/なさそう」(18.5%)、「仕事の職種・幅が少なそう」(17.1%)など、仕事に関する不安が目立っている。やはり“就職”が、地方の大きなネックとなっていることが浮き彫りとなる。
就職サポートと企業情報の発信
しかし裏を返せば、就職口や就職支援が充実していれば、地方の就職を検討する人もいるということだ。
独立行政法人労働政策研究・研修機構が発表した「地域雇用の現状と課題」では、「Uターンするために希望する行政支援」についての解答に、「希望者への仕事情報の提供」(25.5%)、「無料職業紹介」(16.4%)を希望する声が多く寄せられてる。やはり、Uターンしてもらうためには就職サポートの充実化が必須である。
さらに興味深いのは、「高校時代までに地元企業の存在をよく知っていた」と回答した人は、「戻りたい」(27.7%)、「やや戻りたい」(36.1%)と、6割以上がUターンに前向きという結果だ。一方で、「全く知らなかった」と答えた人は、「戻りたい」(12.0%)、「やや戻りたい」(20.5%)と3割程度にとどまる。地元にどのような企業があるか、情報を得られることが重要だ。
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