若者を地域に呼び込む“就域” 地方の人手不足には地域ぐるみの対策が効く

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就域は地方が生き残るためには必要不可欠

 こうした状況のなか、地元に就職してもらうよう働きかける“就域”に取り組む地方自治体も登場している。株式会社リクルートキャリアが発表した「2019 年トレンド予測 新卒採用領域」では、就域に取り組んでいる地方自治体を紹介している。

 たとえば兵庫県豊岡市は、地域としての採用力を向上させるため、地元企業が集まってディスカッションする“人事情報共有会”を開催している。同市の製造業・株式会社川嶋建設で働く坂本氏は、「学生へは企業説明の前に、地域の魅力を伝えている 」と、自社ではなく地元の魅力こそ積極的に伝えているという。また、「地域の魅力を伝えるのに自社だけでは不十分であれば積極的に他社を紹介する」とも語っている。むやみに人材を取り合うのではなく、地域に根づいてもらうことを重視した採用活動を展開しているという。

 豊岡市役所 UIターン戦略室で主幹をつとめる若森氏は、「若者回復率の引き上げは人口減少抑制のための重要な対策」としつつ、「通信手段の発達は幸せな地方暮らしを可能にする。そういう選択肢を示したい」と、同市に住み続けることのメリットを発信する姿勢を覗かせている。

 こうした活動は、少しずつ実を結んでいるようだ。豊岡市に営業所を構える株式会社但南建設へのUターン就職を決めた男性は、「地元が好き」と語り、「人が減り祭りや運動会ができない」「商店街も閉じて寂しい」と地元創生への思いを口にしている。また、地元の大学から同市の有限会社袖長建設に就職した男性は、「古民家再生で貢献したい。会社で町のためにという言葉は頻繁に出る」と、やはり地元のために働きたいと語っている。

 北海道帯広市・十勝では、地元企業の横のつながりを増やすため、合同内定式を実施しているという。十勝三菱自動車販売株式会社で係長を務める宮本氏は、「2011年頃、200人いた業界研究フェアが直近では 60 名程度の状況」と危機感を募らせた。そこで、「十勝のどこかの企業に学生が勤めてくれれば本望と想って活動している」と、自社に限らず地元全体での就職促進を念頭に置いているという。

 こうした取り組みによって、十勝内の企業にUターン就職を決めた人からは、「家族や親せきとの距離が近い。働き続けるなら地元がいいと思った」と、ポジティブな声が聞こえてくる。ここでも、“就域”の成果が実を結んでいるようだ。北海道帯広市に本社を構える株式会社カルテックにUターンを決めた女性は、「悩んだ時に相談に乗ってくれる知り合いがいること」と、地域の“つながり”が決め手になったと語る。

 企業ではなく、地域ぐるみで人を定着させる“就域”という考えは、今後も広まっていくだろう。人手不足の解消策を会社単位で考える時代ではもはやない。

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