今年は「人手不足」という言葉を耳にする機会が非常に多かった。企業も人材を確保しようと、採用活動に注力しているようだ。転職市場ではすでに人材の争奪戦が繰り広げられており、企業もあの手この手でい人材確保に奔走している。
リクルートワークス研究所の調査によると、2017下半期に「中途採用における人員を確保できなかった」と回答した企業は、2015年下半期よりも9.6ポイント増の49.9%と、半数近くにのぼっている。転職希望者を取り逃す企業は増加傾向にあり、今後、さらなる人材争奪戦が続きそうだ。
中途採用で首尾よく人員を確保できても、安心はできない。株式会社リクルートキャリアの調査では、「過去3年と比較して入社半年以内に離職した中途入社の社員数」について、人事担当者は「大きく増えた」(3.2%)、「やや増えた」(18.2%)と回答しており、採用してもすぐに辞めてしまう転職者が増えていることを肌で感じているようだ。
それもそのはずだ。同社の調査によれば、今年11月末時点での転職求人倍率は1.66倍と非常に高い水準を記録している。これは転職希望者が職を選べる状況になったということであり、業務内容や職場の雰囲気にミスマッチを感じた場合、ほかの企業に足を向けやすくなったということだ。
そこで、転職経験者に「入社後に戸惑ったこと」を聞いてみると、1位「前職との仕事の進め方ややり方が違う」(45.5%)、2位「社内や業界用語等、専門知識が分からない」(31.1%)、3位「職場ならではの慣習や規範になじめない」(24.6%)という回答が得られている。こういった入社後のギャップを解消しないことには、転職希望者に「入社したい」「ずっとこの会社で働きたい」と思わせることは難しいのかも知れない。
「社会人インターン」で転職希望者のギャップを解消
こうしたなかで、転職者と企業のミスマッチを解消するための取り組みとして、転職希望者に職場情報を開示する企業が増えている。
たとえば、転職希望者を入社前にインターンシップさせる「社会人インターン」がある。これは入社前に実際に職場で働いてもらうことで、業務の進め方や職場の習わしなどを肌で感じることができ、入社後のミスマッチを大きく減らすことができるというものだ。もちろん、企業も転職希望者のスキルを見極めることができ、適切な採用を実現することが可能となる。
1 2