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無責任な飼い主たち〜「かわいかったから」とペット不可の物件で飼育数を増やした夫婦の結末〜

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Thinkstock/Photo vladans

 環境庁は今年11月1日付で統計資料『犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況』を発表。平成29年度の犬猫殺処分数が初めて5万を下回り、43,227頭となった。

 飼い主のいない、もしくは捨てられた犬や猫は自治体の保健所や動物愛護センターに引き取られ、引き取り手を探すことになる。だが、もとの飼い主に戻す、もしくは新たな引き取り手が見つからない場合、その犬や猫は殺されることになる。これが“殺処分”といわれる。空前のペットブームにより、いま現在日本で飼われている犬猫の数は約1,845万頭(平成29年 一般社団法人ペットフード協会調べ)にのぼっており、このうちの約4万頭強もの犬猫が殺処分されているということになる。

 一方、朝日新聞は12月2日、この殺処分減少の陰には、自治体から個人ボランティアを含む動物愛護団体らへの犬猫の「団体譲渡」があると報じた。

〈朝日新聞が動物愛護に関する事務を所管する全国の都道府県、政令指定都市など計115自治体全てを調査したところ、16年度では90の自治体が、収容した犬猫を動物愛護団体(個人ボランティア含む)に引き取ってもらう、いわゆる「団体譲渡」を行っていることが分かった。

 団体譲渡した犬猫の数を集計できている83自治体を合計すると、少なくとも犬は8300匹、猫は1万2929匹が動物愛護団体に引き取られていた。一方で環境省が集計した同年度の全国の合計譲渡数は犬1万7868匹、猫2万9551匹(負傷動物を含む)。譲渡によって殺処分を免れた犬の少なくとも46・5%、猫の少なくとも43・8%が、動物愛護団体に救われていたことになる。〉

 本記事冒頭の環境省統計資料にある『平成16~29年度の犬・猫の引取り状況』をみれば明らかな通り、譲渡により殺処分を免れる犬猫は長期的にみて増加しており、特に猫が大きな増加を見せている。つまり殺処分を少しでも減らすため、全国のボランティア、動物愛護団体らが日々、譲渡のために並々ならぬ努力を続けているということだ。

 ペットを飼うものならば、動物とはいえペットがいかに大事な家族であるか知っているだろう。彼らにも感情があることは一緒にいれば十分わかる。筆者も18歳になる老猫とともに人生を歩んできた。愛犬家、愛猫家ならば、この殺処分のニュースに心を痛めない人はいないはずだ。だが、ペットが大好きなのに、自身の身勝手から、そのペットを不幸にする飼い主も存在する。

 NPO法人「ねこけん」(東京都練馬区)は、その身勝手の筆頭である多頭飼育崩壊の現場に日々立ち会うほか、動物病院を設立し手術代不要での不妊去勢手術を行なっている。そんな活動の最中、ある飼い主から「うちで飼っている猫が飼えなくなったから引き取って欲しい」という連絡が寄せられた。

 その飼い主である夫婦は、神奈川県某市の高台にある賃貸アパートで成猫3匹を飼っているが、引越しのために手放したいという。こうした依頼は普段受けていない「ねこけん」が、特別に引き取りを決めたが、飼い主が猫たちを届けに来るのではなく「引き取りに来て欲しい」と要求して来た。来なければ、捨てると言う。

 今回、この引き取りに向かった「ねこけん」代表理事の溝上奈緒子さんらとともに、筆者も同行。夫婦に取材を行った。

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