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星野源の最新アルバム『POP VIRUS』に込められた「うんざり」な怒りと、どうしようもない世の中への愛

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星野源オフィシャルサイトより

 12月19日に星野源の5枚目のアルバム『POP VIRUS』が発売された。Billboard JAPANアルバムセールス集計速報(集計期間:12月17日〜12月19日)によれば、『POP VIRUS』はいきなり20万6000枚のセールスを記録し、前作『YELLOW DANCER』(2015年リリース)の初動3日売上と比較すると倍以上の勢いとなっている。

「恋ダンス」で社会現象を巻き起こした2016年リリースのシングル「恋」も収録されたアルバムで、さらっと流し聴きするとアルバムタイトル通り星野源らしいポップな聴き触りのアルバムなのだが、実はこの作品の背景には「怒り」「疎外感」「世間への絶望」といった負の感情が色濃くあるようだ。「MUSICA」(FACT)2019年1月号のインタビューで星野源はこのように解説している。

<どんなに大人になっても、『僕はこう感じてるんだけど、みんなはこう感じてないのか』っていうこととか、漠然と伝わらない感じ、寂しさみたいなものはずっとあって……別に人生を覆い尽くすほど強いものではないんだけど、でもずっと微かにある、みたいな。それに対してもう疲れたよっていう気持ちとか、世の中に対しての……去年いろんなこともあったし、ほんとにうんざりっていう(笑)。世の中に対してもそうだし、人間的にも疎外感というか、『なんじゃこりゃ、この世はもうどうしようもないな』みたいな感じが強くなってきて。そういう、うんざりっていう感覚みたいなものを出していこうっていうか、今回はアルバムの中に出ていくんだろうなって感覚はあったんですよね>

星野源が『POP VIRUS』に込めたノイズやネガティブな言葉

 今回のアルバムにはフューチャーベースなどの最新のダンスミュージックの影響と、現在進行形のアメリカのヒップホップの影響が随所に反映されている。今年8月にリリースされたシングル「アイデア」で重要な役割を担ったMPCプレイヤーのSTUTSは『POP VIRUS』でも大々的にフィーチャーされ「Pop Virus」「Pair Dancer」「サピエンス」「Nothing」といった楽曲に参加しているが、音楽面では彼の貢献も大きかったようだ。

 その結果、1960年代〜1980年代のソウルミュージックとJ-POPを掛け合わせてハッピーな空気感を出していた『YELLOW DANCER』とはかなり違った雰囲気の作品が生まれた。

 特に顕著なのが、ノイズや不協和音を取り除くのではなく、意識して残したり、敢えて強調させたりしている点だ。「Pop Virus」のAメロでは耳をつんざくノイズ音やガラスが割れる音が鳴り、また、「Pair Dancer」のイントロではプツプツとシンセノイズが鳴っているが、彼はそういった音づくりを<そういうものが今の日本の空気感だと思ったんですよね>(前掲「MUSICA」より)と解説している。

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