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12月17日、柴山昌彦文科相は、文科省と財務省の2019年度予算案で、日本語教育や外国人児童生徒への教育を充実させるとして14億円を計上することで合意したと発表した。2018年度の予算は当初の4億8600万円から約3倍に膨れ上がったが、外国人労働者受け入れ拡大を目的とした入管法改正案が成立したことが要因と言えそうだ。
文化庁の「平成29年度 国内の日本語教育の概要」によると、2017年の日本語学習者数は23万9597人で、2012年と比較し約1.7倍に増加している。だが、日本語教育実施機関・施設などの数は1995軒(2012年)から2109軒(2017年)と伸び悩んでいる。また日本語教師の数も3万4362人(2012年)に対して3万9588人(2017年)と、やはり日本語学習者の増加にまるで追いついていない。さらに、日本語教師3万9588人のうち正規労働者は約1割で、約6割(2万2640人)はボランティア、約3割(1万1833人)は非常勤講師である。
言葉の壁に苦しむ外国人児童
日本が外国人労働者を受け入れる以上、日本語教育の充実化は必須だ。現状でも、親の仕事の都合で日本に来たはいいが、言葉の壁に苦しんでいる外国人児童は少なくない。文部科学省の「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(平成 28 年度)」によれば、2016年の日本語指導が必要な外国籍の児童生徒数は3万4335人であり、2008年2万2413人から約1.7倍に増加している。今後も増えることは必定だろう。
12月5日放送の『クローズアップ現代+』(NHK系)では、ある問題を抱える福井県越前市の小学校を特集されていた。同校は全校児童355人中79人が外国人児童のため、外国人向けの教科書を独自で作成し、日本語の習得度に応じた個別クラスを設置するなど対応に努めている。しかし、外国人児童の数は増え続けているため普段の授業までは手が回らず、対応が遅れてしまっているという。同校の日系ブラジル人の専属スタッフはインタビューで「人手が足りないので(全ての)教室に支援できる人、先生がいたら良い」とその現状を語った。
文科省が、外国人児への支援が行き届かない理由を学校に問うた調査では、「日本語指導を行う指導者(担当教員、日本語指導支援員等)がいないため。(不足も含む)」(2491校)との回答が最も多かった。やはり、十分な日本語教育の支援を受けられないまま学校生活を送っている外国人児童は多そうだ。
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