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模倣されない「物語」こそが最強のビジネスモデル

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ビジネスモデルとは何か

 そもそも、ビジネスモデルとは「誰に、何を、どのように提供し、誰から対価をいただくか」を明確にすることだ。

 「誰に、何を提供するか」をもう少し丁寧に言うと、「誰に、(手段としての)製品やサービスを提供することにより、どのような価値を提供できるか」となろう。そう、最終的に提供するのは「価値」であって、製品やサービスは「その手段」に過ぎない。ここが誤解しやすいところだ。

 次に「誰から対価をいただくか」というところがビジネスモデルで最も目立つパーツだろう。ここで「顧客」と「利用者」を区別することが重要となってくる。対価を支払ってくれる人(法人を含む)を「顧客」、対価は支払わないものの顧客に重要な影響を与える人を「利用者」として区別することが大切だ。

 この定義に基づけば、有名なセブン銀行のビジネスモデルでは、セブン銀行のATMを使って他行の口座から出金する人は「利用者」であって「顧客」ではない。なぜなら、ATMの利用手数料を払っているのは提携している他の金融機関だからだ(もちろん、時間帯や銀行によっては、利用者が手数料を支払う場合もある。その場合、利用者ではなく顧客となる)。

 このモデルは、地上波デジタル放送のビジネスモデルを考えると、さらにわかりやすい。視聴者は放送局に視聴料を払っていない(NHKを除く)。お金を払っているのはCMを流すスポンサー企業である。つまり、視聴者は「利用者」であって「顧客」ではない。顧客はあくまでもスポンサー企業なのである。

 ただし、放送局は番組の視聴率を上げて利用者(視聴者)満足度を向上させることが重要だ。なぜなら、視聴率が上がれば、それだけスポンサー企業がつきやすく、CM枠の価格を上げることができるからだ。セブン銀行もまったく同様だ。利用者がATMを使えば使うほど、提携金融機関からの手数料収入が増える。だから利用者満足度をいかに向上させるかが重要となる。

 顧客や利用者に価値を提供するために、自社が持つどの資源を使って実現するかを考えなければならない。既存の資源だけで実現できなければ、新しい資源(技術、人材など)を開発しなければならない。社内で開発する場合もあれば、外部から導入する場合もあろう。外部からの導入は内部に取り込む場合と単なる提携に留まる場合がある。いずれにしろ、競争力の源泉は内部資源と外部から取り込む資源にある。

 「誰に、何を提供するか、誰から対価をいただくか」は外部からも見える。だから、ここは模倣されやすい。ところが、どのように実現するかというのは企業内部の資源に依存するので、外部からは見えにくい。模倣されないためにも、ここは見えないようにしたほうがいい。資源を外部に依存すると楽であるが、武器となる資源が社内に蓄積されなければ、たとえ競争優位を一時期築けても維持することができない。資源は外部に蓄積され、競争力の源泉を失ってしまうからだ。

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