男女とも肉体は加齢とともに老い、おおよそ20~30代が妊娠・出産・育児に適した年齢であるのだろうと筆者は認識していたが、「30代はもう高齢出産」「40代になってから初産でも産めるだろう」等という認識も意外とポピュラーらしい。前述した倖田來未が「羊水腐る」発言が前者、後者は「閉経までは産めると思っていた」という野田聖子衆議院議員の例がある。
2012年にNHK『クローズアップ現代』が、「産みたいのに産めない 卵子老化の衝撃」を放送したが、まさかそれが“衝撃”だとは思わなかった。だが、「閉経まで産める」と思っていて、“衝撃”を受けた女性も多かったようだ。NHKの小野文惠アナウンサーも2016年の番組で、「50歳ぐらいまでに産めばいいのかと思っているうちに手遅れになりました」と発言している。
妊娠も出産も女性だけの問題ではなく、また妊娠・出産する年齢や時期は「望んで、実行すれば、叶う」とは限らない。学校教育で、性交や妊娠・出産も含めた正しい性の知識を身に付けることは、誤解や無知に基づいた偏見やハラスメント、暴力の減少につながるだろう。共通認識を持つための適切な性教育が必要だ。一方で、「何歳までに産むべき」等と、学校性教育で規定することも憚られる。そもそも「産む/産まない」の選択は個人のものだからだ。
もちろん一概に「性教育の不足が二階堂の失言につながった」と断じるのも乱暴。今回、二階堂の「28歳では遅い」発言を、他のキスマイメンバーや中居は「そんなことない」と否定している。少なくとも彼らは、このあたりの社会問題について、というか妊娠や出産をめぐる社会問題の存在について、認識している。二階堂の発言は「おバカキャラだから」で流すことのできないレベルの失言であり、メディアで発信する側の人間としてもう少し勉強すべきだろう。
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