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働き方改革が推進される今後の大きな時代のうねりのひとつは、個人の台頭です。一人一人が事業主として、企業と対等に仕事をする形態が増える、ということです。
私の周りにも、会社員という雇用契約から会社との業務委託契約に切り替え、プロジェクトベースで純粋に価値を出す仕事に専念している人がいます。
彼にとっては、部下のマネジメント(仕事を教えたり、目標管理をしたり、勤怠管理をしたり)というのは、雑務に過ぎません。
なぜなら、彼はクリエイターでありプロデューサーなので、そこに時間を費やすのはもったいないからだそうです。
自らの情報発信が容易になった昨今、個人の力量で、大企業とも伍して戦える時代になっています。そして、その動きはますます加速するでしょう。
つまり、一人のデザイナー、一人のプログラマー、一人の放送作家、一人の監督が、すべてをひっくり返すほどのインパクトをもたらすことができる。そしてそこに人が集まり、情報が集まり、お金が集まる。
そう考えるとワクワクします。正規雇用か非正規かなんて、もうどうでもよくなるんです。純粋に自分の腕を磨くことが、時代を変え、時代を創るのです。そしてそれが、会社や国の浮沈にかかわらず、稼いでいける能力を磨くことにもつながるのではないでしょうか。
個人なら、わずかな市場のひずみを狙える
豊かな才能に恵まれなくても、稼いでいける方法があります。それがパーソナルカンパニー、つまり自営業者です。大きな企業になると、人件費や家賃を賄うため、相応の市場規模があるビジネスでなければ、参入する魅力がありません。ただ、何十人、何百人もの従業員を食わせていけるほどのビジネスが、簡単に見つかるものではないでしょう。
私も痛感しましたが、社員を抱えると、自分一人が儲かればいいようなビジネスはほとんどやれません。また、中途半端に市場規模の小さい事業を手がけても、固定費を賄っていくとワリに合いません。
しかし、自分と家族、あるいはスタッフ数人を養っていく程度なら、そう大きなマーケットでなくてもよくなるので、ビジネスチャンスは山ほどあります。
こうした、小さなマーケットをとる事業はマイクロビジネスと呼ばれますが、パーソナルカンパニーこそ、マイクロビジネスの旗手なのです。
マイクロビジネスはビジネスパーソンの特権
スタッフを雇ったり事務所を借りたりすると、売上の変動にかかわらず、人件費や家賃という固定費が発生しますから、売上が上がらないと苦しくなります。
しかし、個人のスタートアップでは、自宅で一人でやればいいですから、追加で大きな固定費が発生することもありません。
事業分野でも、他人のことを気にせず、周りからどう思われるかも気にせず、とりあえず自分が夢中になれて儲かればよいので、どういう副業をやるかという選択も自由です。
数億、数十億という規模の事業にはなかなか参入できませんが、月数十万とか数百万という売上の事業なら、大資本は参入してこないですから、個人でも勝算はあります。
しかも、自分と自分の家族の生活は、基本的に会社の給料で賄えていますから、「今月はいくら稼がないと困る」という事態にもなりにくい。
つまり、副業の成否にかかわらず本業の収入がある会社員は、生活や人生をかける必要がないので、マイクロビジネスを仕掛けやすい職業形態だといえます。
「結果的に儲からなくてもいい」というこの気楽さは、行動を後押ししてくれます。もちろん、手を抜いてもいいという理由にはなりませんが、多少不真面目でも、誰からとがめられるわけでもないので、気軽に取り組めます。
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