高校野球に“球数制限”を導入する新潟県高野連の英断 球児の体と将来を守るルール作りを

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Thinkstock/Photo by gyro

 新潟県高校野球連盟は2019年の春季新潟大会で、球数が100球に達した投手はそれ以降のイニングに登板できないとする、“球数制限”を導入することがわかった。選手の故障を防止する目的だ。高野連が管轄する公式戦では、初の試みとなる。

 2018年の甲子園で準優勝した秋田県・金足農業高校のエースで、北海道日本ハムファイターズにドラフト1位で入団した吉田輝星投手は、地方大会から甲子園決勝まで計1517球を投じていたことについて、選手の酷使だと非難が殺到したのは、記録に新しい。

 前大阪市長の橋下徹氏は8月、Twitterで「大阪桐蔭と金足農業のメンバーには敬意」と前置いたうえで、「しかし金足農業の吉田選手を美談で終わらす間は、日本のスポーツ界に未来はない。吉田選手にどれだけの負担がかかり、選手寿命をどれだけ縮めたのかを科学的に明らかにすべき」と批判を加えた。

 10月、日銀秋田支店は、先の甲子園における金足農業高校フィーバーがもたらす秋田県内の経済効果が、2019年夏までにおよそ104億円にもなると試算した。今後期待できる観光客増加の影響も盛り込まれたものだ。この経済効果は目を見張るものだが、高校野球はあくまで学校教育の一環。それこそ、若い選手の体を危険に晒してまで得るべきものだろうか。

 吉田投手によって問題が顕在化する以前から、投手の“投げすぎ”は高校野球界の長年議題に上がっていた。日本高校野球連盟は2018年春のセンバツ高校野球から、投手の負担軽減のため、延長12回を終わっても同点で決着がつかない場合、無死一、二塁の点が入りやすい状況から攻撃を始める“タイブレーク”制度を実施している。

 ただ、この制度は試合の決着を早めることを目的としたもので、投手の投球過多を直接抑止するものではない。その点、新潟県が導入する球数制限は「投げすぎた投手は登板できない」と明確に線引きをするものだ。新潟県高野連の判断は、英断の一言に尽きるだろう。

 ヤフーニュース内のアンケートでは、新潟県高野連が球数制限を導入することに関して、12月26日現在で「賛成」が7割を占めている。やはり、高校球児の身を案じている人は多いようだ。

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