政治・社会

BTSのRMも勧めた『82年生まれ、キム・ジヨン』…韓国社会にはびこる女性差別を告発した話題作

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 2016年に韓国で出版され100万部以上を売り上げたチョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』(筑摩書房)の日本語訳が12月8日に発売された。『82年生まれ、キム・ジヨン』は日本においても発売されるやいなや大きな話題となり、早くも3刷重版が決まったという。

 『82年生まれ、キム・ジヨン』は、BTSのRMがライブ配信サイト「V LIVE」にて<示唆するところが格別で、印象深かった>と勧めたり、また、文在寅大統領の就任記念に国会議員のひとりが「女性が平等な夢を見ることができる世界を作ってほしい」とプレゼントしたりと話題に事欠かない小説だった。

 そうした社会現象ぶりを象徴するのが、韓国のガールズグループ・Red Velvetのメンバーであるアイリーンに起こった出来事だ。2018年3月にソウルで行われたファンミーティングで彼女が「『82年生まれ、キム・ジヨン』を読んだ」と発言したところ、「アイリーンがフェミニスト宣言をした」と騒動になり、過激なファンの一部はアイリーンのグッズを棄損した画像をインターネット上にアップするなどの行動も起こした。

韓国社会にはびこる女性差別を告発した『82年生まれ、キム・ジヨン』

 『82年生まれ、キム・ジヨン』は、ソウルのはずれにある大規模団地に夫、娘の3人家族で住む33歳(2015年当時)の専業主婦、キム・ジヨンの人生を描いた物語。

 キム・ジヨンは2015年の秋に精神的な健康を崩して精神科を受診するのだが、幼少期の記憶までたどってカウンセリングしていくうちに見えてきたのは、キム・ジヨンを含めた韓国に生きるすべての女性たちがいかに差別され、不利な状況で生きることを余儀なくされているか。そして、男性はその状況に気づくこともなく、女性は声を挙げることができず我慢を強いられているという事実だ。

 キム・ジヨンの人生は物心ついた頃から常に男子とは差をつけられてきた。キム・ジヨンには姉がひとり、弟がひとりいたが、優先されるのは常に弟。食事が配膳されるのも、父、弟、祖母の順番であったし、弟には洋服や学校の道具がしっかりと揃えられているが、姉妹は二人で1つの物をシェア。家庭内での待遇は、明らかに男か女かで違っていた。

 学校でも男子と女子では扱いが違った。給食の配膳順は男子が優先だし、男子には許されているTシャツやスニーカーが女子には認められていないなど、理不尽なルールがまかり通っていた。

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