
辛酸なめ子さん(左)☓山田ノジル(右)の初対談!
呪われ女子。一見するとおどろおどろしい字面だが、ライターの山田ノジルさんによると、科学的根拠のない通称「トンデモ」と呼ばれる健康法や美容法をまるっと信じてその実践に励み、時には健康を害してしまったり家族や友人も巻き込んだりする女性たちのこと。
その裏には「女は◯◯しないと病気になる! 不幸になる!」と脅し、そうした健康法、美容法へと導くという、呪いそのものな行為をとおして金銭的に潤っている人たちがいる。それがスピリチュアルな世界観と結びつけられるから、また厄介だ。豊かさや神秘性を感じて惹かれる女性たちが後を絶たない。
ノジルさんにとって初の著書となる『呪われ女子に、なっていませんか? 本当は恐ろしい子宮系スピリチュアル』(KKベストセラーズ)は、WEZZYで連載中の「スピリチュアル百鬼夜行」を大幅に加筆・修正し、1冊の本にまとめたもの。「子宮系女子」「経血コントロール」「冷えとり」など、連載でお馴染みのジャンルについての考察がつづられている。
けれどスピリチュアルとは本来、人を魅了し、癒やすもの。呪いにかからず、本質的なスピリチュアルのみを享受することもできるはずでは?
同書の刊行を記念しての新春特別企画で、ノジルさんが対談の相手として希望したのは、スピリチュアル愛好家として知られる作家・辛酸なめ子さん。なめ子さんの著作には、『魂活道場』(学研プラス)、『辛酸なめ子と寺井広樹の「あの世の歩き方」裏道マップ~死後の世界のガイドブック~』(マキノ出版)などスピリチュアルに関するものも多数ある。
お互いの体験のなかから「スピリチュアルとの上手なつき合い方」を探っていただこう。
スピリチュアルと美意識
辛酸なめ子さん(以下、なめ子):『呪われ女子~』、読みました。スピリチュアルのなかでも健康系のお話が中心でしたが、私もあまりよく調べないで取り入れているものが結構あるかもしれない……と反省しながら読み進めました。
山田ノジル(以下、ノジル):このなかで、実際にやってみた健康法ってありますか?
なめ子:「デトックス」について書かれた章がありますが、以前はゲルマニウム温浴に通っていましたね。でも、わざわざデトックスしなくても体内に取り入れた重金属などは尿や便で排出されると読んで、特別なことやらなくてもいいのかなと思うようになりました。あとは、冷え性なので……。
ノジル:この季節、つらいですよね。まさか冷えとり信者の鉄板、靴下5枚重ね履きを!?
なめ子:10年ぐらい前は冬になると指がしもやけでパンパンに腫れて、すごくつらかったんですよ。いろいろ試すなかで、人から5本指ソックスを勧められました。それを重ねて履くといいよ、って。実際にやってもみたんですが……自分自身が5本指ソックスを履いている姿に、なんだか冷めてしまいました。
ノジル:心が冷えたわけですね!(笑) 冷えとり界隈では、体に毒素が溜まっていると心も冷えるという説もあるんですよ。5本指ソックス自体が悪いわけじゃないにしても、なめ子さんの美意識が、靴下の重ね履きを許さなかったんですね。
なめ子:私にはハードルが高かったですね。もし見た目が“いかにも”じゃなくて、冷えをなんとかしてくれるいいソックスがあれば、ぜひ履きたいんですが。
ノジル:それでいうと膣に入れるパワーストーン「ジェムリンガ」は、挿入しているときや出すとき、ふとわれに返って気分が落ちることってないんだろうか……。逆に高揚しているのかもしれませんけどね。なめ子さんはパワーストーン、お好きですよね。
なめ子:結構買ってますね。
ノジル:それを挿入することはどう思われますか。
なめ子:私はアクセサリーとして身に着けたり目で楽しんだりしたいので、体内に入れて見えなくなる使い方はしません。ジェムリンガについては聞いたことはありましたが、一部の、すごく進みすぎている人がやっているという印象でした。看護師さんから、異物を挿入して取り出せなくなったと救急外来を受診する人が多いという話を聞いたので、どうしても怖いと思ってしまいます。
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ノジル:それがまっとうな感覚だと思いますよ。パワーストーンは効果効能がいろいろ謳われていますが、買うときはそれを基準にしますか?
なめ子:う~ん、あんまりしないですね。買うときには一応、石の名前を見て検索するのですが、「女性性が高まる」とか「集中力が増す」とかふわっとしたことしか書かれていないし、どれも似たり寄ったりなので、何を買ってもそれなりに効くんじゃないかな、と思ってしまいます。だから私の場合は、ほぼ色とデザインだけで決めています。
ノジル:そこにもやはり美意識が。
なめ子:明らかに数珠みたいなデザインのものは着けないですね。あまりおしゃれだと思わないので。