ライザップ赤字転落と「高輪ゲートウェイ」という珍妙な名称に共通する「奪い合いのビジネス」

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銀行は再開発プロジェクトくらいしか貸し先がない

 ここ数年、首都圏では再開発ラッシュともいうべき状況が続いてきた。都心部ではあちこちに巨大なビルが建設されており、右も左もクレーンだらけである。一部の識者はこうした状況について「日本経済が力強く成長している証拠だ」と説明しているが、必ずしもそうとは言い切れない。

 日本のGDP(国内総生産)はここ1〜2年、比較的堅調に推移したが、それは米国の好景気を背景に輸出産業の業績が拡大したことが原因である。労働者の実質賃金はあまり上昇しておらず、肝心の個人消費は弱いままとなっている。多くの人が生活実感として理解できているはずだが、お世辞にも今の日本は好景気とはいえない。

 一方、日銀は量的緩和策を実施し、市場にはおびただしい量のマネーが供給された。だが消費が伸びないなか、企業は設備投資を控えているので、銀行はいくらお金があっても貸し先がない。唯一、安心してお金を貸し出せる案件が再開発プロジェクトである。

 一部の人は、需要もないのにこれだけの再開発を行って大丈夫かと首をかしげているが、銀行やプロジェクトを担当する企業に限っては大きな問題は発生しない。仮に、再開発プロジェクトによって需要を超えるオフィスや住宅が供給されたとしても、周辺の築年が古いオフィスビルや住宅からテナントを奪う形になるので、そのプロジェクト自体は破綻しない。

 かつて六本木ヒルズが開業した時、こんなに大量のオフィス・スペースが埋まるのだろうかと危惧する声があったが、同ビルがテナント確保に困ったことは一度もない。

 しかし、こうした巨大なビルが完成するたびに、周辺にある古いビルからは確実にテナントが退去しており、そうしたビルの財政状況は悪化の一途を辿っている。経済全体で見た場合には、最終的にはどこかで必ず歪みが出てくるだろう。しかも、多くのプロジェクトは、まだ使えるビルを壊して再開発を行っているので、減価償却(マクロ経済では固定資本減耗)が増えて、やがて労働者の賃金を圧迫する結果となる。

ライザップグループとの共通点

 高輪ゲートウェイの再開発計画も、土地が放出されたことをきっかけにスタートしたものであり、需要ありきのプロジェクトではない。しかも、開発効率を上げるため、レジデンスを併設することでさらに容積率を緩和する新制度まで作っている。海外から優秀な人材を呼び込み、日本を国際金融都市にするという触れ込みだが、現実の日本はガラパゴス化が進んでおり、むしろ高度なスキルを持った外国人を排除する傾向が強い。

 神谷町など、かつては外国人のエリート・ビジネスマンが集っていたエリアでも、近年はめっきり彼等の姿を見なくなった(見かけるのは外国人観光客ばかりである)。いわゆる山の手エリアでも外国人ビジネスマンが少ないという現実を考えると、外国人向け住宅のニーズが高まっているとは思えない。おそらく容積率を緩和するための手段となっている可能性が高いだろう。

 とりあえず再開発ありき、容積率の緩和ありきで物事が進んでしまうと、その収容力に応じた集客ができないとその後の施設運営に支障を来すことなる。だが再開発そのもので経済が拡大するわけではないので、どうしてもパイの奪い合いとなってしまう。

 その結果、奇抜な名前を付け、とにかくに話題にすることで集客しようという心理が働いてしまう。

 最近はこうした事例があちこちで見受けられるようになっている。急成長ののち、赤字転落が話題となったライザップグループも同じ文脈で捉えることが可能だ。

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