
(左)サイゼリヤ/(右)ガスト(編集部撮影)。誰もが知るファミレスの看板メニューはどうなる?
さまざまな料理をリーズナブルに楽しめるファミリーレストラン。気軽に外食したいときには欠かせない存在となっているが、そんなファミレスは今、深刻な問題に直面している。
人手不足と、それに伴う人件費問題である。
ガストやジョナサン、バーミヤンなどを展開し、2017年の売上高3594億円の業界ナンバーワン・すかいらーくグループや、それに次ぐ1483億円の売上高を誇るサイゼリヤですら、決して例外ではない。すかいらーくグループやサイゼリヤでは、ドリンクバーを導入するなどして早くから機械化を進めており、すでにスタッフの作業量は最小限まで切り詰めている状態といえる。しかし、そんな状況においても慢性的な人手不足が深刻化しているのだ。
人手不足を解消するためにはスタッフ募集の際に時給を上げる必要があり、人件費も増していく。そして、その人件費増を補填するために、企業側が客単価を上げようと考えるのは至極当然の流れ。すなわち、人手不足は消費者である我々のサイフを直撃する問題でもあるのだ。
最近、ガストを利用したことがある方ならば知っているだろう。実は、ガストは低価格帯の看板メニューであった「目玉焼きハンバーグ」(399円、税別)をすでに廃止している。現在、ガストにおけるハンバーグメニューの最安値は449円(税別)の「ハンバーグステーキ」。ライスをつければ、ワンコインでは食べられない。さらに目玉焼きが乗った「てりたまハンバーグ」というメニューもあるが、こちらは549円(税別)となっている。
名物メニュー喪失の背景に、人手不足、人件費増があることは、想像に難くない。そう考えれば、サイゼリヤのあの看板料理「ミラノ風ドリア」(299円、税込)さえ、近い将来値上げするか、最悪の場合はなくなってしまう可能性も充分にありえる……そんな不安が、頭をよぎってしまう。

人気№1のミラノ風ドリア。サイゼリアといえば、やはりコレ!(サイゼリア公式サイトより)
そこで、フードアナリスト協会所属のフードアナリスト・重盛高雄氏に、ファミレス業界の人手不足問題や人件費問題、そして格安メニューの今後について、解説していただいた。
業界の雄・すかいらーくでさえ、毎年半数のスタッフが辞めている現実
そもそも外食産業の人手不足はどれほど深刻なのだろうか。
「外食産業の人出不足については、すぐに解消するという特効薬はないと誰もが感じています。それほど深刻なのです。
すかいらーくグループでは、年間で約10万人の従業員が働いていますが、その半分である約5万人が、毎年、卒業や家庭の事情などで退職しているといいます。それはつまり、毎年5万人を採用しなくてはいけないということ。マクドナルドでも年間約14万人が働いていますが、その半数の約7万人が退職しているという状況です」(重盛氏)

重盛高雄 フードアナリスト
ファストフード、外食産業に精通したフードアナリスト。ニュース番組、雑誌などに多数出演。2017年には「The Economist」誌(英国)から、日本のファストフード業界についてのインタビューを受けるなど、活躍の場を世界に広げている。
HP http://foodanalyst-pro.com/profile/profile.php?name=shigemoritakao00017
誰もが知るファミレスやファストフードのトップ企業でさえ、慢性的な人手不足に悩まされているというのだ。