ホリエモン事件と同じ構造!? カルロス・ゴーン事件に見る、独裁者を“利用”し、そしてほうむり去る我がニッポンの“伝統”

【この記事のキーワード】

堤義明、許永中、ホリエモン、そしてカルロス・ゴーン

 ここからは日本の話になりますが、わが国には、ゴーン容疑者のような独裁者タイプの企業家に対して幾度となく用いられてきた“お決まりの遇し方”というものがある。最初は国を挙げて応援し、多少強引な手法や不正があっても見逃して、国がかりではなかなか成し得ない事業を効率的に進めさせる。そして失敗したら、もしくは不要になったらあっさり切り捨てる。そういうパターンです。

 西武鉄道グループ元オーナーの堤義明などはその典型でしょう。1964年に父からコクド・西武鉄道グループの経営を引き継ぐと、観光開発事業に着手。通常、国が公共事業として進めようとすれば多大なコストを要する予算取りや許認可などの面で、国や自治体、政治家からの優遇や便宜を受け、品川や高輪などに超高層ホテルを次々に開業、父が開発・発展させた軽井沢をさらに大きくし、苗場などのリゾート開発にも成功します。そして、一時は米経済誌「フォーブス」で総資産額3兆円の世界一の大富豪と報じられるなど、カリスマ経営者ともてはやされました。

 ところがその後はよく知られている通り、バブル崩壊後の業績悪化とともにグループの不正が次々に明らかになった。堤は2005年、くしくもゴーン容疑者と同じ有価証券報告書の虚偽記載などで証券取引法(現金融商品取引法)に違反した容疑で東京地検特捜部に逮捕され、懲役2年6月、執行猶予4年の判決が確定しています。

 日本には、これに類するケースが数え切れないほどあります。検察や警察がそんな恣意的なことをするのか、という疑問には、残念ながら「するのだ」と答えるしかない。1991年に特別背任、法人税法違反で逮捕されたイトマン事件の許永中しかり、2006年に証券取引法違反で逮捕されたライブドア事件の堀江貴文しかり。ゆえに私は、今回の事件の一報に接したとき、「ああ、またか」という感想を抱かずにはいられなかったのです。

 国や日産から見ればゴーン容疑者は、本連載の前々回「戦前はナチス政権にも協力!? “国策企業”ルノーの歴史から見るカルロス・ゴーンの逮捕」で述べた通り、政府寄りの性格の強い企業である日産を立て直すのになくてはならない存在だった。だからこそ、多少の不正があったとしても見逃されてきた側面があった。しかし、国や日産の思惑通りにV字回復を成し遂げ、ルノーとの経営統合の話が持ち上がると、国にとっても日産にとってもむしろ邪魔な存在となり、切り捨てられた。それが、このタイミングでのゴーン逮捕を説明し得る、もっとも妥当なストーリーだと私は思います。

(構成/松島 拡)

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