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「宮内庁が聞く耳を持たなかった」“秋篠宮様ご発言”から考える、皇室と安倍政権との“確執”

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2018年11月22日、同月30日の誕生日を前に、紀子様と共に会見に臨まれる秋篠宮様(写真:読売新聞/アフロ)

【歴史学者・小田部雄次氏インタビュー 前編】

 今上天皇の退位と新天皇の即位まであと5カ月余りとなった2018年11月22日。秋篠宮文仁親王の誕生日記者会見での発言が大きな波紋を呼んだ。

 新天皇即位後の2019年11月に執り行われる大嘗祭について、「宗教色の強い皇室行事なので、国費ではなく内廷会計(皇室の私的な活動費)で行うべき」(発言内容要約、以下同)と私見を述べ、「そのことを宮内庁長官に私はかなり言っているが、聞く耳を持たなかったのは非常に残念」と宮内庁を痛烈に批判したのだ。

 さらに、結婚に関する行事が2年間延期された眞子内親王と小室圭氏の今後についても、「多くの人が納得し喜んでくれる状況にならなければ、婚約に当たる納采の儀を行うことはできない」とバッサリ。皇族がこのような形で心中を吐露するのは異例のことだ。

 当然ながら、名指しでの批判を受けた宮内庁は対応に大わらわとなり、山本信一郎宮内庁長官らがコメントや記者会見で謝罪。新聞からテレビ、週刊誌まで、メディアもこぞってこの発言に飛びつき、喧々囂々の大騒動を巻き起こした。

 国民にとっては唐突にも思えるこの秋篠宮発言。その背景にはいったいどんな問題が隠されているのか? 日本近現代史が専門の歴史学者で、近代以降の皇室の在り方に詳しい小田部雄次・静岡福祉大学名誉教授に話を聞いた。

小田部雄次(おたべ・ゆうじ)
1952年生まれの歴史学者で、静岡福祉大学名誉教授。専門は日本近現代史。皇室史、華族史などに詳しく、著書に『皇族―天皇家の近現代史』(中公新書)、『肖像で見る歴代天皇125代』 (角川新書)などがある。

“形だけ”の皇室会議

――11月の「宮内庁が聞く耳を持たなかった」というご発言からは、皇室と政府との間で意思疎通が円滑にできていない実情がうかがえます。今、皇室と政府の間でどんな問題が起きているのでしょうか?

小田部雄次 やはり一番の問題は、皇室の方々がなんらかの悩みを抱えたとき、そのことを政府に伝えて改善してもらうための制度、法的なシステムがそもそも存在しない、ということだと思います。

 ご存じの通り、終戦翌年の1946年に公布された日本国憲法の第1条で「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」とされ、第3条で「天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負う」と定められました。ただ、皇室に何か問題が生じてそれを解決しようとしたとき、政府の承認が必要であるということが決められただけで、皇室の方々が誰にどのように要望を伝えてどう改善してもらうか、という具体的なシステムは整備されなかったわけです。

――なぜそういうシステムを作らなかったのでしょうか?

小田部雄次 当時は皇室に非常に大きな権力があったということもあり、将来、皇室をめぐってこれほど多くの問題が出てくるとは想定していなかった、というのが一因だと思います。戦後70年以上が経過する中で、皇室の置かれている環境や内部状況は大きく変わっていきました。それによって皇室はさまざまな問題を抱えるようになりましたが、日本国憲法や現行の皇室典範の起草時にはそこまで想定しなかったということです。

――皇室に関する重要事項を審議・決定する国の機関として、皇室典範第28条で皇室会議の設置を定めていますが、そうした問題を解決するシステムとしては機能していないのでしょうか?

小田部雄次 皇室会議というのは、皇族2人と三権の長(内閣総理大臣・衆参両院議長・最高裁判所長官)などで構成されていて、確かに今あるシステムの中ではもっとも合議制の整ったものではあります。ただ、そこで主に行われているのは、立后および皇族男子の婚姻についての議論、つまり結婚相手が皇室にふさわしい女性であるかを審議することであって、皇室の抱えている全般的な問題を解決することではないのです。

 だから眞子様と小室圭さんの結婚問題にしても、法律上、皇族女子の結婚については皇室会議でチェックするルールがないために、あのようなトラブルになってしまった。もし、男性皇族が結婚する場合と同じように皇室会議で審議しておけば、問題を事前にクリアしてうまくいったかもしれないわけです。

眞子さま・小室圭氏の婚約はなぜ問題化したか?

2017年9月3日、東京・元赤坂の赤坂東邸で婚約内定会見を行った、眞子内親王と小室圭氏。(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)【歴史学者・小田部雄次氏インタビ…

ウェジー 2018.06.17

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