「宮内庁が聞く耳を持たなかった」“秋篠宮様ご発言”から考える、皇室と安倍政権との“確執”

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皇室と安倍内閣の間にある“確執”

――「宮内庁長官が聞く耳を持たなかった」という発言を受け、ある宮内庁幹部が「寝耳に水だ」とコメントしたとも報じられています。その点についてはどう思いますか。

小田部雄次 秋篠宮様が記者会見で突然この発言に及んだわけでないことは、「殿下のお考え、投げかけにしっかり返答しなかったことへの宮内庁に対するご叱責と受け止めている」という西村泰彦宮内庁次長の会見での言葉からも明らかです。おそらく秋篠宮様は、ずいぶん長い間、周囲の宮内官僚にこの話をしてきたけど、宮内庁側が対応しなかった、というより対応できなかったのだと思います。

 宮内官僚はおろか山本宮内庁長官にさえ、こういう話を安倍晋三首相なりに伝えて会議を開いてもらうような権限はないわけですから。それに、仮に伝えたとしても、安倍首相はとりあわないだろうと忖度した……といった側面もあるかもしれません。

――皇室と安倍内閣の間に確執があるということでしょうか?

小田部雄次 少なくとも安倍首相の周辺に、皇室の戦後の歩みに対して肯定的でない人たちが多いのは確かでしょう。一部で誤解されていますが、今上天皇をはじめ今の皇室は、できるだけ国民に寄り添い、戦争の歴史と反省を重く背負って戦後を生きてきました。その思いの深さは、今上天皇がつい先日、2018年12月20日の記者会見で声を震わせて語った、「象徴としての私の立場を受け入れ、私を支え続けてくれた多くの国民に衷心より感謝する」という言葉にもはっきり表れていたと思います。

 だからこそ今の皇室からは、平和憲法は守るべきだし、平等でリベラルなものを大事にしたい……という強いご意思が感じられますよね。今上天皇は特に、そのような思いが強いと思います。2001年の誕生日記者会見で「韓国とのゆかりを感じている」と述べたり、2004年の秋の園遊会で教育現場での国旗掲揚・国歌斉唱問題について「強制にならないことが望ましい」と言及したり、過去にもリベラルな発言を繰り返してきました。

 無論、教育勅語の復活を唱えているような安倍首相の周りの保守派からすれば、皇室のそうした姿勢は面白くないのでしょう。ゆえに当然ながら、皇室の抱えている問題の解決にも好意的ではないわけです。そもそも底流にそういう構図があるから、皇室をめぐって何か問題が起こるたびに政府との間で軋轢が生じてギクシャクしていくわけです。

(構成/松島 拡)

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