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「“あるべき皇室の姿”への議論を」小田部雄次・静岡福祉大学名誉教授に聞く、“秋篠宮様ご発言”の真意とは?

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2019年1月2日、平成最後の新年一般参賀にて、おそろいになった皇室ご一家(写真:UPI/アフロ)

【歴史学者・小田部雄次氏インタビュー 後編】

 2018年11月22日、秋篠宮文仁親王の誕生日記者会見で発せられた、「大嘗祭は国費ではなく内廷会計(皇室の私的な活動費)で行うべきだと宮内庁長官に言ってきたが、聞く耳を持たなかったのは残念」という宮内庁批判。これまで2回にわたり、その背景について歴史学者の小田部雄次・静岡福祉大学名誉教授に分析してもらった。皇室の問題を解決する法的なシステムの欠如と、皇室・政府間の確執、さらには大嘗祭に対する皇室の強い思いと国民に対する複雑な感情――秋篠宮発言は、そういうさまざまな問題が形となって現れたものだ、と小田部氏は見る。

 この誕生日記者会見では、大嘗祭に関する言葉以外にも、「(眞子内親王と小室圭氏の今後について)多くの人が納得し喜んでくれる状況にならなければ、婚約に当たる納采の儀を行うことはできない」という爆弾発言が飛び出している。これらの言葉がこのタイミングで発せられたのは偶然か必然か? また、大嘗祭発言の真意とは? 引き続き小田部氏に、皇室の記者会見の実情などについての解説を交えつつ分析してもらった。

小田部雄次(おたべ・ゆうじ)
1952年生まれの歴史学者で、静岡福祉大学名誉教授。専門は日本近現代史。皇室史、華族史などに詳しく、著書に『皇族―天皇家の近現代史』(中公新書)、『肖像で見る歴代天皇125代』 (角川新書)などがある。

【歴史学者・小田部雄次氏インタビュー 前編:「宮内庁が聞く耳を持たなかった」“秋篠宮様ご発言”から考える、皇室と安倍政権との“確執”】
【歴史学者・小田部雄次氏インタビュー 中編:「“貯金”のできる内廷費でやりたい」が皇族がたの本音? 27億円の国費を投じる大嘗祭と、“国事行為”たる即位の礼が持つ意味】

予想外だった、雅子妃“人格否定発言”

――秋篠宮様が、今上天皇退位と新天皇即位まであと5カ月余りと迫ったタイミングであの発言に及んだのはなぜだと思いますか?

小田部雄次 あの場で発言しようと用意周到に計画なさっていたのでは、との見方もありますが、私は違うと思う。というのも、秋篠宮様の大嘗祭についての発言は、記者からの「即位の行事や儀式についてお考えがあればお聞かせいただきたい」という質問を受けてのものですが、実はこの質問は、事前に秋篠宮様側に渡された想定質問にはなかった。つまり、記者が聞かなければあの発言はなかったということ。聞かれたから普段思っていることがポンと出てしまった、というのが私の見解です。

 ただし記者が、ああいう発言を引き出せるかもしれないと見込んで確信犯的に話題を振った可能性はあります。先に述べたように、秋篠宮様は大嘗祭についての悩みを以前から周囲の宮内官僚に伝えていたはずで、とすればそのことを記者が知っていても不思議はないわけですから。

――素朴な疑問ですが、皇室の記者会見というのは、質問と回答が事前にすべてチェックされているわけでは……。

小田部雄次 ないですね。一応記者側から想定質問の案を出しますけど、完全にその通り質疑応答するわけではない。「関連質問」という、事前に想定されていない質問も毎回ふたつほど出ます。「即位の行事や儀式について」というのは、まさにその関連質問のひとつだったんですね。

 想定外という意味では、2004年に皇太子様が、デンマーク・ポルトガル・スペイン訪問に際しての記者会見で、「それまでの雅子のキャリアや、そのことにもとづいた雅子の人格を否定するような動きがあったことも事実です」と述べた、いわゆる“人格否定発言”などもそう。あんな発言が出るとは誰も想定していなかった。ただ、会見の数日前に、一部の関係者がオフレコとして回答を知っている場合もあるようですけどね。

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ウェジー 2018.06.19

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