リアルファーvsフェイクファー論争、自分なりの落としどころを探し続けて【フランス・パリ】

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(C)はらだ有彩

一人目、到着したその日に見かけた高齢の女性。さっそく派手とゴージャスとおめかしの限りを尽くした人に出会ってしまった。全身のほとんどが真っ赤な薔薇で埋め尽くされ、一分の隙もない。どこからどう見てもフェイクという質感の素材とセーターにびっしりと縫いつけられたスパンコールが激しいコントラストを生み出している。「そのコート素敵ですね」と話しかけると「ありがとう、よい夜を」と優しく対応してくれた。神戸でいうと住吉、東京でいうと八王子……?というような、比較的閑静で地味とも呼べるかもしれない雰囲気の駅、Balardにて。

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二人目は少しアフリカ系の雰囲気がある若い女の子。常に顔をしかめながら音楽に合わせて体を揺らしている。体を動かすのが得意そうな所作だ。彼女はいかにも最新の技術で安価に作っているらしい、すべすべ系フェイクファーを着ていた。ゴージャスに見せたいというよりは、流行と温かさを追求した結果、ファーにたどり着いたという方が正しいだろう。コートの下はスウェットのセットアップ。いつもの格好で出かけようとしたら思ったよりも寒く、ぱっと羽織って出てきたのが偶然この上着だった、というような気軽さだ。彼女はRERのGare du Nord駅で降りていった。

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三人目は一人目と同じくらいの年齢と思しき女性。上品な住宅街っぽさとエッフェル塔に集まる観光客をカモろうとする荒っぽさが混ざり合う(私調べ)Trocadéro駅付近で煙草をふかしていた。道路越しに目を凝らしたのでよく見えなかったが、古いものっぽいデザインであった。おそらくリアルファー。雑誌『SPUR』(集英社)の2013年12月号特集、「ファーを着るなら、エドワード・ゴーリーのように」に載っていた、オーバーサイズのリアルファーと白いスニーカーの写真を思い出した。ただし彼女の場合はゴーリーの陰鬱で湿ったクローゼットの匂いより、強くてあけすけな煙の香りが染み込んでいそうだった。

フランス語では、肉を食べず毛皮・レザーを着用しない人をビーガン、肉を食べないが毛皮・レザーを使用する人をベジタリアンと呼び分けると、今通っている語学学校で習った。肉を食べるが毛皮を着ない人は何と呼ぶのだろう。

これを書いている今日、雪が降っていた。パリには持ってこなかったが、私は父にもらったムートンのジャケットを時々着ている。父は古着で購入したと言っていた。古着として流通している製品を全部集めれば、全人口の毛皮やレザー需要を満たせるかどうか検証する方法はあるだろうか。できればもう存在しているものから率先して使っていきたいような気もする。しかし、古着のファーを素敵に着ている人を見て「自分も欲しい」と思った人が、古着屋へ行くとは限らない。日本に帰るのは2月半ばなので、先生に言われて置いてきたフェイクファーの上着を着る機会もまだまだあるだろう。自分が生きている間に答えにたどり着きたいと思う。

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