孤独死の損害をオーナーが負担せざるを得ない場合
ここまで、孤独死による損害を相続人に請求することができると書いてきたが、相続人になり得る人たちが全員相続を放棄することもある。たとえば故人に負債があった場合などだ。このとき、連帯保証人がいればその人に請求することができるが、連帯保証人がいない場合は、すべてオーナーの自己負担となる。
一方、孤独死した故人に財産があった場合、相続人がいなければ相続財産法人がそれを管理することになり、最終的には国のものになる。このような場合、オーナーは相続財産管理人を選任して、その相続財産管理人に請求することもできる。しかし、相続財産管理人の選任のためには裁判所に予納金を支払わなければならない。この予納金の金額は事案の内容により変動するが、おおよそ20万円~100万円かかる。
この費用負担が大きいため、泣く泣く自己負担して処理するオーナーが多いのではないだろうか。このように、自分が所有する物件から孤独死が出てしまうと、すぐに発生する損害だけでなく、家賃収入が下がるか途絶えてしまうというリスクが生じることになる。
そこで、このリスクをカバーしようという保険が登場した。それが俗にいう「孤独死保険」だ。この保険には、孤独死で生じる原状回復のための費用の補償と、家賃収入の補償がある。