パスタを食べて、心屋式カウンセリング!?
小林麻耶氏の本に続き、心屋教の浅さがバッチリ刻み込まれている作品をさらにご紹介していきましょう。心屋心理カウンセラーの認定資格を持つ漫画家・野崎ふみこ氏の新作『心のイタリアごはん』(双葉社)です。「心屋心理学×生パスタ」という斬新な組み合わせは、今や星の数ほどある漫画作品の中でも、さすがに史上初なのでは。
物語の主人公は、夫が営むイタリアンレストランを手伝っていた主婦。夫が失踪して店を開けられないため、自分でできる範囲のことをと、心理カウンセリングもできる生パスタ教室を開く。1~2話完結スタイルで、主人公のもとに悩みを抱える女性たちが訪れ心の問題を乗り越えていきます。この主人公のカウンセリングが心屋流ってことなのですが……いやあ盛大にすべっておりました。
『親なるもの 断崖』で話題沸騰中の漫画家が描く「スーパーのレジの人なるもの」
この頃、どのサイトを開いてもある電子書籍のバナーが出てくる……そのマンガ、読んでみるとかなり面白いらしい……と、ジワジワ話題になっている壮絶な…
野崎ふみこ氏は1970年代から活動しているそれなりのベテラン作家。私は少女漫画時代の作品はリアルタイムで読んでいませんでしたが、レディース作品はちょくちょく目にしていましたね。ほっこりさせるストーリーがお得意で、同書は絵も相変わらず可憐でかわいらしく、物語の運びや絶妙な間に安定感があり熟練の漫画家であることを感じさせます。なのに、物語の山場となるはずの〈カウンセリング〉が薄っぺらすぎ、思わず真顔。
カウンセリングが始まると、クライアントから希望の呼称を聞き出しフレンドリーに対話を進める主人公。クライアントが吐き出す悩みをうんうんと受け止め、感情が高ぶったら「怒れ怒れ、もっと言ってやれ」なんて、キャッキャと煽っちゃう。するとあっという間に、相談者は涙ポロポロ~。すかさずそこで、「ちゃんと泣くのは必要なことだよ」「どす黒い気持ちがたまって苦しいのは、自分の感情を吐き出させてあげていないから」と優しくアドバイスする主人公。