演劇界に漕ぎ出した元SMAPの3人、草彅剛が名作の新たな主人公像を提示する

【この記事のキーワード】

性のにおいがしなかった理由

 しかしそのぶん伝わってきたのは、ジャックナイフのように(ただし、細いという外見的特徴も大いに影響している気もしますが……)張り詰めた緊張感でした。自分は強いのだと精いっぱい誇示していないと、生きていけないような繊細さと弱さを、鍛えた肉体の奥底に隠し持っているような。ジェルソミーナのトンチンカンな言動に怒り、彼女を怒鳴りつけていても、それは本心からの乱暴さではなく、そうするしか人との接し方を知らないからではと思わせました。

森田剛をはるかに凌ぐ「ジャニーズイチの演技派」岡本健一の世界が認める才能!

 劇場へ足を運んだ観客と演じ手だけが共有することができる、その場限りのエンターテインメント、舞台。まったく同じものは二度とはないからこそ、時に舞台では、…

Erotic_Stage32_tn
演劇界に漕ぎ出した元SMAPの3人、草彅剛が名作の新たな主人公像を提示するの画像1 ウェジー 2018.03.28

 それを強く感じたのは、眠るときにザンパノがジェルソミーナに命じる「ベッドに来い」のひと言。ザンパノは文字通り体が商品のため、草彅は劇中タインクトップ一枚姿が大半で肌の露出も高いのですが、ジェルソミーナを寝床に呼びつけても、ふたりのあいだにセクシャルな空気がまったくにおわなかったのです。

 終盤のジェルソミーナの、「彼と夫婦になってもいい、もう夫婦同然の生活をしているのだから」というセリフから、彼女とザンパノのあいだに肉体関係があることはたしかなのですが、どうしてセクシャルさが感じられないのか。

 それは、劇中で心理を明快には語らず、ジェルソミーナへの愛も一切見せないザンパノが、彼女を完全に失ったと知って初めて、孤独と絶望に絶叫する理由とも共通しているのかもしれません。自分を含む誰かの人生を背負う重さには耐えられないけど、そばに誰かにいてほしい。そんな、ザンパノのわがままぶりは、心が子どものままだから。ジェルソミーナへの気持ちは、単純な欲望や恋情ではなく、他者への依存そのものなのかも。

女装に見えてしまう生田斗真演じる「女より女らしい」トランス女性、 『彼らが本気で編むときは、』は教育推奨作品にふさわしい?

荻上直子が監督・脚本を担当する『彼らが本気で編むときは、』は、ジャニーズの人気俳優・生田斗真が、MtF(Male to Female:男性として生まれな…

演劇界に漕ぎ出した元SMAPの3人、草彅剛が名作の新たな主人公像を提示するの画像2
演劇界に漕ぎ出した元SMAPの3人、草彅剛が名作の新たな主人公像を提示するの画像1 ウェジー 2017.03.17

 演者にとって、評価の固まっている名作へ出演することは、チャレンジングでありますが従来の殻やイメージを破るチャンスでもあります。「道」はおそらく、草彅にとってはまさにその機会だったのでは。

 ジャニーズ事務所という名前の大きさから、去年もまだ“忖度”という言葉はつきまといましたが、舞台の世界は、芸能界とは少し違った力学が働く場所。19年も、彼らの活躍が楽しみです。

1 2

あなたにオススメ

「演劇界に漕ぎ出した元SMAPの3人、草彅剛が名作の新たな主人公像を提示する」のページです。などの最新ニュースは現代を思案するWezzy(ウェジー)で。