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「つながりすぎ問題」とソーシャルメディア時代を生き抜く3つの力

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Thinkstock/Photo by metamorworks

 詳しくないので本当かどうか定かではないが、「人間」という言葉は仏教において人が輪廻転生する6つの世界(六道)の1つである「人間道」に由来する、と聞いたことがある。

 私たちが住むこの世界がそれだ。この言葉には「にんげん」と「じんかん」という2つの読み方があって、少なくとも一般的には、前者は私たちのようなヒトを指し、後者は世間や社会などを指すことが多い。この2つが同じルーツを持ち、同じ字で書かれるということから、少なくとも、人間が社会を作って暮らすものであることを私たちが当然のこととして受け止めていることがわかる。

新たなつながりが、新たな価値、新たなビジネス、新たな文化を生み出している 

 確かに私たちは誰もが何らかの社会に所属し、その中で他者とつながりを持ちながら暮らしている。現代社会においては、無人島に漂着し、たった1人で自給自足生活をしたロビンソン・クルーソーのような生き方はできない。多くの人は、他者とのつながりに幸福や価値を感じ、より多くのつながりを求め続けている。ふだん他者と話をしない生活をしている人ですら、たいていは商品やサービス、あるいは労働を他者に売って収入を得たり、また消費する物品のほとんどを他者から購入したりする経済に生きている以上、他者とつながらなければ生きていくことすらできない。

 したがって、人と人とをつなぐ技術は、これまで人が作り出してきたさまざまな技術の中でも特に重要な地位を占めるものの1つとなる。それは有史以来そうであり、そして今も変わらない。現代社会において、その最たるものは、インターネットやソーシャルメディアだろう。それらの存在感は日増しに大きくなる一方だ。日々新たなデバイスやサービスが生まれ、これまでにはなかった新たなつながりを人と人、人と企業、人と情報などの間に作ることで、新たな価値、新たなビジネス、新たな文化を生み出している。

ソーシャルメディア上の「つながりすぎ」問題からは簡単に逃れられない

 しかし一方で、そうした新たなつながりが望ましくない影響を及ぼすこともある。たとえば、プライバシー侵害や誹謗中傷、フェイクニュースやステルスマーケティング、あるいはネット依存症やネットいじめなどが典型的だ。それらにとどまらず、日々ネットのあちこちで起きているあらゆる類のもめごとの多くは、インターネットやソーシャルメディアを通じて人が作る新たな「つながり」が引き起こしたものだ。それらはそうした「つながり」がなければ起きなかったものであり、いわば「つながりすぎ問題」であるといえる。

 ソーシャルメディア上の「つながりすぎ」が問題であるなら、その「つながり」を切ればよい、と考えがちだが、ことはそう単純ではない。ソーシャルメディアがもたらした新たなつながりによるよい影響と考えられるものと、悪い影響と考えられるものは、多くの場合、実際には同じものを別の側面から見たものにほかならないからだ。

 誰かが知りたい情報は別の誰かにとっては知られたくない情報であり、誰かが知りたくない情報は別の誰かが知らせたい情報であったりする。一部の人に向けた情報がそうでない人の目に触れて炎上する場合も、また自分が正しいと確信するがゆえに他者を激しく攻撃してかえって問題をこじらせてしまう場合も、どちらの側が正しいかは必ずしも自明ではない。正しい「つながり」を残しつつ正しくない「つながりすぎ」を切る、というのは一般に考えられているよりずっと難しい。

「つながりを再設計する」3つの力

 ではどうすればいいか。新たな技術の開発や活用、新たな制度や規制の提案、教育・訓練の拡充など、さまざまな案が出されている。実行に移され実際に効果を挙げているものも少なくない。

 宣伝ではないが、2015年に出版され、今春改訂版が出る予定の藤代裕之編著『ソーシャルメディア論』(青弓社)には、「つながりを再設計する」との副題が付けられている。共著者として私が担当した章も含め、この本はその全体を通してソーシャルメディアがもたらすこの「つながりすぎ問題」が大きなテーマとなっていて、その「再設計」として、いくつかの方向性を論じている。

 ここで挙げたいのは、そうした諸々の対策を前提として、さらに個人のレベルではこうしたらいいのではないか、という話だ。特にここでは、ソーシャルメディア上で日夜繰り広げられている、馬糞を投げ合うような誹謗中傷合戦に疲れた方々のための話だ。ややおおげさだが、2006年に経済産業省が提唱した「社会人基礎力」という言葉にひっかけて、私はこれを「ソーシャルメディア時代の3つの社会人基礎力」と呼んでいる。

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