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医学的な治療を要する一歩手前の「かくれ不眠」に要注意

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Thinkstock/Photo by Liderina

 人はなぜ眠るのか? これは誰しもが抱いたことのある疑問だろう。

「人はほぼ人生3分の1は寝て過ごしています。それでは何のために睡眠をとるのかといえば、明確にはわかってはいませんが、活動のために疲れた脳や身体を休めさせるということはこれまでも言われてきました。しかし、睡眠中でも脳は活動しています。起きているときに大量に入った情報を整理し記憶にとどめるという脳の作業も睡眠です」

 こう話すのは睡眠障害と関連の深い疾患、特にうつ病の治療を専門とする杏林大学の古賀良彦名誉教授。今回は睡眠とさまざまな疾患の関係性についてお話を伺った。

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古賀良彦 杏林大学名誉教授
昭和21年東京都世田谷区に生まれる。日本催眠学会名誉理事長、日本ブレインヘルス協会理事長、日本薬物脳波学会副理事長、日本臨床神経生理学会名誉会員などを務める。

 

「心と体に恒常性をもたらし免疫力が低下しないようにしたり、傷ついた体の組織を修復するために成長ホルモンなどの分泌を円滑にすることも睡眠の役割です。最近では脳の中の老廃物を排出するという働きもわかってきています。しかし、これらのすべてが人間の脳で確実に検証されたわけではなく、動物や昆虫などの研究成果を援用していることもあります。哺乳類でも夜行性の生物がいますし、猫にしても人間の2倍は睡眠をとっていますから、睡眠科学はまだまだこれから解明すべきことは多いですね」

寝る前のスマホで最長睡眠時間が短くなる

「睡眠の障害は人の体内時計の乱れにつながりますが、体内時計は体温や脈拍、血圧などの変化やホルモン分泌などと深く関係していますから、医学的にはもちろんさまざまな問題が生じます。さらに引きこもりや不登校、出社拒否などの背景に体内時計の乱れが関係している例も少なくありません」

 最近問題になっているのが寝る前に使うデバイスの悪影響だ。

「PCやスマホなどに使われているブルーライトは可視光線の中で最もエネルギーが強く、脳に強い覚醒刺激を与えます。私が実際に行った実験では、寝る前にスマホを1時間操作すると、途中で目が覚めない最長睡眠時間が、4日目には明らかに短くなるという結果がみられました」
 
 これまで多くの研究者によって成長ホルモン、メラトニン、コルチゾールなどのホルモンも睡眠と関係性が高いというエビデンスが数多く見つかっている。

 他にも、睡眠時間と乳がんの罹患リスクに関係性があるという研究もある。(東北大学、「睡眠時間と乳がん罹患リスクに関する前向きコホート研究」)。

 この研究に関して古賀教授は、「メラトニンというホルモンの関与が示唆されています。メラトニンは睡眠促進、免疫力の維持、抗腫瘍作用、活性酸素の中和作用などがあるとされているため、がんと睡眠との関係性も今後研究が進んでいくと思います」と説明する。

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