「ふるさと納税」の行き過ぎた返礼品競争…納税者の意識の見直しも迫られている

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 一方で、都市部の自治体のなかには、「ふるさと納税」によって税収が減ってしまったところも多く、怒りの声も上がっているが……。

 「私は前提として、この『ふるさと納税』という制度自体は、非常に重要かつ有効な制度だと考えています。もともと、人口が集中する都市部に吸い上げられた税金を、なるべく地方に分配しようというのが『ふるさと納税』の趣旨です。地方が頑張れば頑張るだけ、都市部の自治体が損をしてしまうというのは、制度上は仕方がないことでしょう。

 また、『ふるさと納税』の場合は、都市部の自治体でも工夫次第で税収を増やすことができるわけです。東京都の区の中にも、流出を止めようと努力しているところ、あるいは、他の自治体から『ふるさと納税』を集めようという努力をしているところもあります」

 ただし、その “努力”をやりすぎてしまう自治体が散見され、制度自体を見直す動きも出ている現状がある。

 「今、批判されているのは、頑張り方を間違えてしまった、一部の地方自治体の暴走です。地域の特産品ではないものを返礼品にしたり、過剰に豪華なものにしたりして税金を集めようとするというような、行き過ぎた“努力”をする自治体に、巨額の税金が集まるようになってしまいました」

 冒頭の静岡県小山町のように、Amazonギフト券や家電製品を返礼品とする自治体や、地産のものではない大量の牛肉や豚肉を返礼品とする自治体も多く、問題視されていることは事実だ。

 「たとえば、非常に豪華な返礼品を提供していた大阪府の泉佐野市には、100億円を超える『ふるさと納税』が集まることになってしまった。これに対して、周辺の自治体や、税金が流出している都市部の自治体からは批判が出てくるようになりました。そこで、2019年6月から、『ふるさと納税』の制度が見直されることになったわけです」

納税者にも「ふるさと納税」に対する意識の見直しが求められる

 税制改正大綱に明記された新たな仕組みによれば、「ふるさと納税」の返礼品は、「価格を寄付額の3割以下とすること」「地場産品とすること」が条件となり、基準を守らない自治体は指定自治体から外され、寄付額が集まっても税優遇を受けられなくなるという。しかし、こうした動きに対して、磯山氏はあえて警鐘を鳴らす。

 「総務省が一律にルールを決めて、返礼品は『3割以下』『地場産品』とするのも、ひとつの改善策としては理解できます。しかし、どうやって3割を計算するのか、地場産品の定義は何なのかといった、細かい議論になってしまう可能性もあるわけです。ですから、上からルールで押し付けるのではなく、それぞれの地域が『ふるさと納税』の実情を、自身でしっかりと説明していくことが必要なのではないでしょうか」

 磯山氏は、寄付金の使い道や効果を、自治体自身が“見える化”していくことこそが重要だと説く。また、そうして実情の明らかになった自治体を、納税者が意識的に選んでいく必要もあるという。

 「お肉やお米、魚介類といったものは非常に人気があって、これらを返礼品に用意する自治体には、多くの寄付が集まる傾向にあります。もちろん、その地域の特産品をもらうのであれば、地場産業を育てることにもつながるので、一概に悪いとは言えません。しかし、返礼品を目当てとするだけではなく、自分が寄付したお金を有効に使ってくれて、自分の税金が役に立つような自治体を“応援しよう”という視点で、『ふるさと納税』先として選ぶ。このように変わっていくことが、大切なのではないでしょうか。

 とくに近年は自然災害が多いため、さまざまな災害に見舞われてしまった自治体に『ふるさと納税』をしても、お得な返礼品をもらえないというケースは少なくありません。しかし、『ふるさと納税』をして、自分の税金の一部をその自治体に渡すということは、有効な支援手段になるのです」

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