毎夏、浮上する日本高野連への批判騒動
これまでも、日本高野連の融通の利かない対応はたびたび批判を集めてきた。
2016年の全国高校野球選手権大会の甲子園練習にて、大分県代表・大分高校3年の女子マネージャーがユニフォームを着てグランドに入り練習の補佐をしていたところ、大会役員からグランドから退出するよう命じられるというハプニングがあった。大会規定では、危険防止のため女性は試合に出場できないとされており、練習もこれに準じるものと見なされたという。同校部長は、「彼女は一生懸命頑張ってきたので、グラウンドに立たせてあげようと思った」と謝罪した。
この日本高野連の対応に対してはネット上で「時代錯誤すぎる」「マネージャーがかわいそう」などと批判が相次いだ。元陸上選手の為末大はTwitterで<世の中と最もずれている競技になりつつある>とし、脳科学者の茂木健一郎も<高校野球自体はすばらしいスポーツの祭典だと思いますが、「丸刈り」を含め、謎の様式美、禁則が多すぎますね。>と苦言を呈している。
また、2017年の全国高校野球選手権大会の開会式中、高校名の書かれたプラカードを持っていた女子生徒が熱中症のような症状で倒れたが、式典は中断することなく進行。熱中症で命を落とすケースも多いなか、女生徒の安全より式典を優先したような対応に、批判が殺到していた。
こうして振り返ってみると、たしかに日本高野連は世間のそれと乖離した価値観を持っているようにも思える。旧態依然としたルールを守ることには異常に厳しく、ときに理不尽を振りかざす。その一方で、毎年のように問題が浮上する「高校野球の熱中症」「球児の投球過多」などに対しては抜本的な改善がまったくなされていない。この背景には、甲子園を神格化するあまり、しきたりを変えようとしない組織の態度、さらに言えば、その権力を維持しようとする思惑まで透けて見えるようだ。
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