
筆者によるツイート
日清の新しい広告は衝撃だった。アニメ『テニスの王子様』とのコラボレーションによってアニメ化された大坂なおみ選手が、どこからどう見ても大坂選手に見えない。肌の色がピーチ色(旧・肌色)で髪にも縮れはなく、緩いウェーブに描き換えられている。顔立ちも全く本人に似ていない。
これでは白人ではないか。
この広告を見るわずか数日前に、大坂選手が表紙となった米タイム誌を見ていただけにショックはより大きくなったと言える。タイム誌の表紙は大坂選手の細かいカーリーヘアを強調し、照明によって顔と体の側面に意図的に暗い影を付けて撮影されていた。表情は見る側におもねる笑顔ではない。だが、それが一人の人間としての大坂なおみのリアリティを表しているように思えた。
2枚のなおみ像を並べてツイートするとたちまち大量にリツイートされ、白人化された描写への賛否両論のリプライがあった。後日、この件を報じるネット記事にも転載された。
大坂選手は全米オープン優勝直後に日本でおこなった記者会見での「アイデンティティ問題」も大きな話題となった。前回も今回と同様、本人の意向はほとんど分からないまま、日本人が激しく議論した。大坂選手の一体何が日本人の琴線に触れるのだろうか。それはおそらく、多くの日本人がこれまで考える機会のなかった人種問題――特に対黒人――について、嫌が応でも対峙させられるからではないだろうか。
大坂選手は
・日本人なのか?
・黒人なのか?
・アジア人なのか?
・ハーフなのか?
・ハイチ人なのか?
・アメリカ人なのか?
・移民なのか?
・二重国籍なのか?
・三重国籍なのか?
日本では稀な「複数のアイデンティティ」を持つ人物を、日本はまだ消化できずにいるのだ。
大坂なおみ選手のアイデンティティ~「ハイチ系の家庭で育ちました」
テニス全米オープンで優勝した大坂なおみ選手の記者会見が9月13日に横浜市内でおこなわれた。その際にハフィントンポストの記者が発した「アイデンティテ…