日本人はなぜ「仕事に自信がない」と答えるのか

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豊かさがすべてを解決する

 日本の職場の環境が良くないという話は、以前から指摘されていることだ。さまざまな専門家がそれぞれの立場から解決策などを提示しているが、状況が改善される気配はない。

 こうした社会問題の解決方法には大きく分けて2つの方法がある。ひとつはミクロ的な解決方法、もうひとつはマクロ的な解決方法である。

 ミクロ的な解決方法は、それぞれのコミュニティにおいて発生している問題に対して具体的な処置を施すというものである。「仕事でストレスを抱える社員が多いので社内に相談窓口を設置する」といったやり方は、典型的な手法といってよい。

 一方、マクロ的な解決方法は経済全体で状況を改善していくというものである。

 ミクロ的な解決方法は重要だが、根本的な部分で改善が見られない場合、場合によっては対症療法となってしまう可能性がある。これまで多くの専門家がミクロ的な解決方法を提示してきたにもかかわらず、一向に日本の職場の環境が改善されない現実を考えると、背景に大きな問題が存在している可能性を疑わざるを得ない。こうした大きな問題を解決するためには、マクロ的な手法を用いる必要がある。

 ヒントになるのは国の豊かさである。 

 先ほどの意識調査では、日本、香港、オーストラリア、シンガポールの4カ国は、新興国と比較して意識が低めという結果が出ていた。各国のGDP成長率を比較すると、日本は1.7%、香港は3.8%、オーストラリアは2.2%、シンガポールは3.6%となっている。日本は4カ国の中でも突出して意識が低いという結果だが、成長率もやはり最下位である。

そろそろ雇用に目を向けるべき

 豊かさの指標である1人あたりのGDPについてはどうだろうか。日本は430万円、香港は510万円、オーストラリアは620万円、シンガポール640万円となっており、やはり日本がもっとも低い。

 1人あたりのGDPで豊かさは比較することはできないといった批判の声をよく耳にするが、それは正しい認識とはいえない。1人あたりのGDPは、国民の平均年収に近い数字であり、世の中にある各種の指標の中で、その国の豊かさをもっとも的確に示す指標といってよい。

 日本はかつてバブル時代に1人あたりのGDPが世界2位だったこともあるが、今は大きく順位を下げている。世界2位だった時代に「日本は貧しい」などという感想を持つ人は皆無だったことがすべてを物語っている。

 国全体が豊かにならないと、マクロ的な意味で国民が満足度を感じることは難しくなってくる(ここではそうした中でも幸せを感じる人もいるといった個別の話はしていない)。結局のところ、国全体の豊かさと個人の意識は不可分なのである。

 バブル崩壊以降、日本では景気を良くするために、さまざまな施策が行われてきた。財政出動や量的緩和策、企業に対する政府からの助成など、できることはほぼすべてやり尽くした感があるが、ほとんど成果は上がっていない。だが、その中で唯一、手を付けていない分野がある。というよりも、意識的、無意識的にこの分野から目をそらしてきたといってもよい。それはズバリ雇用である。

 欧米各国との比較はもちろん、アジア各国との比較においても、日本だけが終身雇用制度を採用しているという部分が、他国とは決定的に異なっている。これが多くの問題を引き起こしている可能性が高い。

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