日本人はもっと転職を経験したほうがよい
日本では、「雇用を流動化する」という話が出るとすぐに感情的な議論になってしまう。だが、終身雇用の場合、新卒で会社に入って約40年間、同じメンバーで顔を突き合わせて、同じような仕事を続けていくのである。気分がマンネリ化したり、ストレスがたまったりするのは当たり前のことではないだろうか。
筆者はサラリーマン時代に一度転職し、その後、起業も経験しているが、職場や仕事を変えることは想像以上に自身のメンタルによい影響を与える。スキルという意味でも、前の職場の知識が違う形で次の職場で役立つことがあるので、実務的なメリットも大きい。
日本は高齢化が進んでいるため、政府は定年を70歳まで延長し、事実上、生涯労働へのシフトを進めている。働く期間がさらに長くなることを考えれば、人生の中で最低でも2つの仕事を経験するくらいがちょうど良いのではないだろうか。幸いにも日本は空前の人手不足であり、仕事がまったくないという状況になるとは考えにくい。
雇用が流動化すれば、組織は活性化するし、人が多ければ組織内の風通しもよくなる。結果的に労働生産性が高まり、これはマクロ的には賃金の上昇と経済成長をもたらすことになる。