『いだてん』の視聴率を「気にしていません」とNHK上層部が断言した理由

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 さらに、『いだてん』は、1910年代を舞台にしたストーリーのメインラインと、1960年代の東京オリンピック前夜の日本を舞台にした場面との2つの時系列を往復するかたちで物語が編まれており、ただでさえテンポが早くて情報量が多いのに、時系列まで複雑で、ついていけなくなった高齢者層がこれからどんどん脱落していくのではないかとの指摘もある。

 しかし、前述の数字を見れば分かる通り、「大河ドラマ」というコンテンツ自体になんらかの変革が必要な時期なのは間違いない。

 そう考えると、これまで大河ドラマに馴染みがなかった視聴者層、特に若い視聴者層の獲得を意図しているのは明らかで(若い視聴者層への目配せは近年の『NHK紅白歌合戦』にも見られるものである)、<1回1回のリアルタイム(視聴率)はそんなに気にはしていません>という発言は、そういう意味で出たものであるのかもしれない。

 実際、宮藤官九郎作品は、評価が高くて後々にまで残っていく作品であっても、放送時の視聴率は振るわない例も多い作家である。

 そういったことを考えるとNHK側は、宮藤官九郎に脚本を託した段階からもう視聴率を気にしていないのかもしれない。

 これは宮藤官九郎作品を楽しみにしているファンにとっては朗報でもある。是非ともこれまでの大河には見られなかった実験的な試みにどんどんチャレンジし、まったく新しい大河ドラマをつくってほしいものである。

(倉野尾 実)

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