さらに、このステップを踏襲することで、企業にも適切なメリットが生まれるという。
「第3ステージには『イノベーション』があります。多様な意見のおかげで、会社の利益や売上が高まる、良い人材が集まり良い研究成果が出る、といった会社の成長につながることを差します。つまり、多様な人を雇用することはただの入り口であり、そのうえで『インクルージョン』と『イノベーション』を起こして会社に利益をもたらすこと、これが本当の『ダイバーシティ』なのです」
つまり、ダイバーシティの本質とは新たな「価値創造」なのだ。
ダイバーシティ推進で給与もアップ メリットを共有せよ
しかし、冒頭の調査結果を考慮しても、日本ではダイバーシティの正しい理解は進んでいないようである。それはなぜか。
「現在の日本ではまだ、第1ステージ(ダイバーシティ)ばかりが語られ、そこでストップしています。経営者からすれば、『うちは女性を3人も採用したんだから、これでOKだよね』となり、その先へ進まない。女性活躍はダイバーシティの第一歩であり、そこに終始してしまうのはもったいないです。
また、研究開発をしている方や営業の方にとっては、『自分はダイバーシティに関係ない』と思っていることも、推進されない理由ではないでしょうか。
ダイバーシティを第3ステージ(イノベーション)まで引き上げることで、会社の価値が高まり、給料も上がるというゴールが示されれば、みんなが関心を持つようになるでしょう。そのためにはいま一度、ひとりひとりがダイバーシティの真の意味について知ることが大切です」
企業においても、それぞれがダイバーシティについてよく理解し、多様性によってもたらされるメリットを共有する。もちろん利益の追求のみに走るのではなく、それぞれが認め合い、それぞれに活躍できる土壌をつくることが必要だ。これが現在、日本企業に必要とされている変革だろう。
●佐々木氏は、ダイバーシティの認識度を数値化するオンラインテスト「ダイバーシティインデックス」を考案。 理解度を深めたい方は、ぜひ受験してみてはいかがだろうか。
ダイバーシティインデックス
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