「この社会で女性でいることは、死と隣あわせなのかもしれない」北原みのり☓雨宮処凛対談

文=石川優実
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雨宮:いろいろありましたね。財務省セクハラ、東京医大の差別入試、TOKIOの山口達也、新潟県知事援交、自分が酒を飲んだコップで強制的に飲酒させようとした狛江市長、女性にキスを迫った群馬県みなかみ町長、アラーキー……。

北原:多すぎて麻痺していく感じ。

雨宮:でも、表に出てよかったですよね。いままでだとセクハラのことは、「あーあ、またババアが騒いでるよ」で終わらされていたじゃないですか。特に地方なんかだと「村の恥を出すな」ともみ消されることも多いだろうし。そういう過去を考えると、社会が少し変わってきたなと思います。

農家の女性たちがかけられた呪い

北原:狛江市長の件、彼が辞任するときの謝罪会見がひどかったの覚えてますか? 「俺はセクハラしたと思っていないけど、この時代、女がセクハラというんだったら男は言い訳なんかできないから、俺は男らしく引退するよ」みたいな感じでした。ちょうどそのころ、性暴力や性売買の搾取に反対して戦後ずっと活動してきた80~90代の女性たちが集まる会がありました。そこで90代の女性が、「セクハラで市長が辞めました。こんなことが起きる時代になったんです。私の死んだ仲間たちも墓場で喜んでます」とおっしゃっていました。ずっと戦ってきた声が結ばれて笑ってるおばあさんたちがお墓のなかにいるんだな、と思うとフェミニストとしてすごく勇気づけられました。

カメラマン広河隆一氏のセクハラ加害で見えた、“権力”と“魅力”の履き違え

 フォトジャーナリストの広河隆一氏による性暴力を受けたとして、「週刊文春」(文藝春秋)にて7名もの女性が告発に踏み切った。これを受け26日、報道写真誌「…

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「この社会で女性でいることは、死と隣あわせなのかもしれない」北原みのり☓雨宮処凛対談の画像2 ウェジー 2018.12.28

雨宮:『農家女性の戦後史』(こぶし書房)という本が、今年発売されました。専門紙の「日本農業新聞」に女性からの投稿コーナーがあってそれを研究した本なんですが、農家に嫁いだ女性のつらい話が書いてあるんです。そのなかに、農家の嫁が万引きする話がありました。なぜ万引きするかというと、子どもが運動会のときでも体操着とか必要なものとかを買うお金を、舅も姑もくれないんですよ。それどころかミルク代も出してくれない。「昔は粉ミルクなんかなかった」ということでしょうか。だからその人は、1年間粉ミルクを盗みつづけたんです。彼女は、「私は悪いことをしました」と謝っている。でも、ぜんぜん悪くないですよ。悪いのは姑と舅です。それに、なんで夫は助けてくれないの? 

雨宮:本には万引きで捕まる嫁が多く登場するんですが、そこの農家すごく儲かってるんですよ。嫁だけがすごく貧困なんです。1円もないから、逃げることもできない。逃げるなら子どもを置き去りにしなければいけない。姑に無理やり中絶させられて、中絶手術の日、病院から自転車で帰ってきてそのまま畑に働きに出される。そんな話がたくさんありました。

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