統計偽装は国を滅ぼしかねない。厚労省だけじゃない、好景気装うウソ

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厚労省が犯した3つの大罪

 今回の統計偽装で、厚生労働省は少なくとも3つの大罪を犯しました。1つは、日本経済を診断するための「体温計」を歪めてしまったこと。このデータでは、日本経済が健全なのか、病気になっているのかがわかりません。体温計が狂ってしまえば、そもそも熱があるのかどうかもわかりません。医者泣かせ、エコノミスト泣かせのことをしてしまいました。

 第2に、統計の連続性を奪ってしまったので、昨年と比べて良くなったのか悪くなったのかもわからなくなりました。体温計が狂っているとしても、同じものを使っていれば、昨日より上がったか下がったかで、「変化」はわかります。しかし、調査サンプルやその処理方法を変えてしまうと、前のデータとの比較ができなくなります。絶対水準はわかっても、それが改善なのか悪化なのかがわからなければ、処方箋も書けません。

 そして第3に、データの信頼を失墜させたとともに、政府官庁の信頼も失墜させました。世間では中国のGDP統計などは信用できないと言われますが、日本も中国のことは言えなくなり、世界から日本の統計の信ぴょう性を疑問視されかねません。日本全体の信用を失墜させかねない問題です。

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