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千葉10歳女児虐待死、ハイリスク家庭の情報共有を 虐待緊急対策では2022年までに人員2000人増

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Thinkstock/Photo by Choreograph

 また家庭内での虐待が疑われる悲惨な事件だ。10歳の長女に対して髪の毛を引っ張る、服のまま冷水をかける、首付近をわしづかみにするなどの暴行を加えたとして、千葉県警は今月25日、父親の栗原勇一郎容疑者を傷害容疑で逮捕。長女の心愛さんは24日、自宅に駆けつけた救急隊員らによって死亡が確認された。

 心愛さんの体に致命傷となる大きな外傷はなかったが、古いあざが複数あったという。28日に行われた司法解剖の結果は死因不祥。救急隊員らが発見した際にはすでに死後硬直が始まっていたため、勇一郎容疑者が心愛さんに暴行を加えた後に放置した可能性も浮上している。

 この家庭内での虐待の可能性を、児童相談所や学校が全く把握していなかったわけではない。2017年9月に沖縄県から千葉県野田市内の小学校に転入した心愛さんは、同年11月に小学校のアンケートに「父親から暴力を受けている」旨を記載、学校側の聞き取り調査には「母のいないところで叩かれる」「先生どうにかなりませんか」など具体的に答えたという。連絡を受けた柏児童相談所が翌日、心愛さんを一時保護していた。

 柏児童相談所は1月28日に記者会見を開いているが、それによると、心愛さんは保護される前、市職員に父親から背中や首、顔を叩かれたり、「てめえ、早く宿題やれ」と言われたことを打ち明け、柏児相にも「お母さんがいない時に叩かれる」「父が怖い」と明かしていたそうだ。心愛さんの頬には叩かれた痕もあったという。

 しかし勇一郎容疑者は心愛さんを手元に置こうとしていた。野田市は31日に開いた記者会見で、一時保護に納得しない勇一郎容疑者は威圧的な態度で教育委員会の職員に迫り、職員は「恐怖感に屈した部分が多かった」と説明している。

 心愛さんの一時保護期間中、柏児相は勇一郎容疑者・心愛さんの母親と8回に渡って面談したが、勇一郎容疑者は虐待を否定。虐待の程度が軽く、徐々に恐怖心が薄れた心愛さんが帰宅を望むようになり、親族からの支援も得られると判断した柏児相は、2017年12月27日に心愛さんの一時保護を解除。ただ、一時保護解除後は1度も自宅を訪問していなかったという。2018年1月、勇一郎容疑者の意向で野田市内の別の小学校に転校した心愛さんは、当初は親族宅で生活しながら小学校に通うも、3月に自宅に戻っていた。

 心愛さんは今年1月7日の始業式から小学校を欠席。勇一郎容疑者は小学校に「家族で沖縄に行っている」と連絡しているが、小学校がこれを柏児相に連絡したのは今月21日。柏児相は心愛さんが夏休み明けにも一週間程度休んでいた(が無事だった)ことから、安否確認をすることはなかったという。そして冒頭記したように、心愛さんは24日に死亡が確認されている。

沖縄ではハイリスク家庭と認識されていたはずが…

 市や警察で構成される要保護児童対策地域協議会のリストには、心愛さんの名も含まれていた。転校先の小学校は心愛さんの様子について毎月協議会に報告していたが、虐待が疑われる記述はなく、心愛さんから被害を訴えることもなかったそうだ。

 一方で、心愛さんが住んでいた自宅からは「うるさいんだよ、お前は」「死ね」などの暴言や、「お母さん怖いよ」と泣きじゃくる女の子の声が1年以上前から聞こえていたと、近隣住民は証言する。

 また一家が沖縄県糸満市に住んでいた2017年7月には、勇一郎容疑者の妻に暴力をふるい、心愛さんに恫喝しているとの相談を親族が市に寄せていたという。糸満市は心愛さんが通う小学校とも情報を共有。しかし小学校は心愛さんの様子に気を配ったが虐待を確認できず、市は勇一郎容疑者に面談の予定をキャンセルされ、家庭訪問もできなかった。ほどなくして一家は千葉県野田市に転出。一家をハイリスク家庭と見ていた糸満市の担当職員は、野田市に情報提供を行っているが、勇一郎容疑者による心愛さんへの虐待の疑いについては記録がないという。

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