ベトナム人外国人技能実習生が日本で受けた仕打ち…過労死ライン倍の労働時間、「豚小屋」での生活

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 ちなみに、家は外国人技能実習生がすし詰めにされた部屋で、彼女はその状況を<人間の住むところではなく、まるでベトナムの豚小屋>と表現している。しかも、その部屋の家賃3万円は給料から天引きされていたという。そんな環境だけに、洗濯物もなかなか乾かすことができず、長雨が続いたときは濡れた服をそのまま来て仕事をすることさえあったという。

 将来のために技術を学ぼうと借金までしてやって来た日本で、彼女たちを待ち受けていたあまりにも酷い現実。ティエンさんはこのように語っている。

<家畜のような叱られ方をしました。奴隷として日本に来たんだなと感じました。日本は発展して文明国だと思っていたのに……。ベトナムでは社長は従業員にそんな扱いは絶対しない>

 現在の彼女は支援者の助けもあって会社を逃げ出して保護されており、明るい表情を取り戻している。

 しかし、その一方で会社に残ることになった仲間たちもおり、彼女たちはさらにひどい環境に置かれた。会社には当局の立ち入り調査が入ったのだが、その後、毎日書く報告書には19時終業と書くように指示があったという。しかし、実際の労働時間は以前と変わらず22時過ぎまで。つまり、報告書の偽装を強制されているのである。しかも、他の技能実習生よりも給与の良い技能実習生2人を監視役に置くようになったそうで、まさに刑務所のような環境だ。労働時間がメチャクチャな分、刑務所よりもひどいかもしれない(ちなみに、訴えを受けてこの会社には再び調査が入り、労働基準法や技能実習法違反に関しての調べが進んでいるという)。

外国人労働者の人権問題はもっと議論されるべき

 技能実習生たちがつらい環境に置かれても我慢せざるを得ないのは、在留資格が会社と紐づいているため、自分の意志で転職ができないからだ。また、技能実習生の多くは借金をして日本にやって来ているので、借金を返すまでは地獄のような環境でも耐え忍ぶ。ティエンさんらは会社の社長から「言うことを聞かないと国に返すぞ!」と脅され、社長への恐怖をしきりに訴えていたが、そのような関係性ができ上がってしまうのは、構造上の問題も大きい。

 現在日本で働いている外国人技能実習生は28万人。その数はこれからどんどん増えていくだろうと予想されている。

 改正入管法が審議されていたときには盛んに議論された外国人労働者の人権問題だが、同法の強行採決とともにメディアで取り上げられる機会も激減してしまった。

 しかし、この問題はなにも解決していない。このまま議論が進まなければ、さらなる犠牲者が増え続けることになる。日本社会全体でいま一度、外国人労働者の人権問題について考えなくてはならない。

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