
アリアナ・グランデ instagramより
アリアナ・グランデが自身のヒット曲『7 Rings(七つの指輪)』にちなんで手のひらの指の付け根に漢字で「七輪」とタトゥを入れた。このタトゥが大論争を引き起こし、大の親日家であるアリアナが「もう日本語の勉強を止める」と発言するまでに至った。経緯とその論点をまとめていく。
アリアナは1月29日に「七輪」のタトゥを入れ、インスタグラムにアップ。途端に「それは7つの指輪じゃなくて、日本の焼肉グリルだ」と言うコメントが飛んだ。間違いを知ったアリアナは翌日、「七輪」に「指」「♡」のタトゥを追加して写真をアップしたところ、これがさらに「意味を為してない」と批判された。
日本では1月29日にアリアナ・グランデJP公式ツイッター・アカウント(@ariana_japan)が以下のツイートを行った。
【Instagramより】
アリアナがまた日本語のタトゥーを追加!今度はなんと漢字で「七輪」😳
「みんなこれは私の手じゃないって思っているみたいだけど、本当に私の手よ🥺」とコメントしています。
「七つの指輪」を略して「七輪」かな🤔💭とても気に入っているよう💍#アリアナ pic.twitter.com/wR55jgu7FU— アリアナ・グランデ JP公式 (@ariana_japan) 2019年1月30日
1月31日、このツイートに東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の公式アカウント(@Tokyo2020jp)が、手のひらに「五輪」と書いた写真を付けてリプライ。アリアナ・グランデ本人の公式アカウントにもリプライを飛ばしている。
「七輪」じゃなくて… 🤔🤔🤔#Tokyo2020@ArianaGrande @ariana_japan pic.twitter.com/JRtrz1aa6X
— Tokyo 2020 (@Tokyo2020jp) 2019年1月31日
アリアナは文化の盗用者?
アメリカのSNSには、単に「七輪」の過ちを笑うものと、アリアナが日本の文化を多用するのは文化の盗用だと厳しく批判する2種の声があった。
ある女性は、「タトゥだけの話じゃない!!!!! あなたは日本の文化盗用をずっと続けてきた。人種差別があるっていうのに(中略)日本文化は物販商品やCDジャケットにできる飾りじゃない」
アリアナの日本限定盤CD『ザ・リミックス』のジャケットは、アニメ風のアリアナの顔に「アリアナ・グランデ」とカタカナで書かれたものだ。また、ニューアルバム『thank u, next』と同名シングル曲にちなみ、日本語で「ありがとう」と書かれたトレーナーを公式ウェブサイトで販売していた。アリアナはこのトレーナーをアメリカの公式サイトからはすでに引き上げている。
上記の批判ツイートに、アリアナはリプライしている。
「日本語のレッスンも止めます。楽しみで、情熱を持ってたけれど。いつか日本に住みたいとも思っていたし。でも、もういい。よい1日を」
このやり取りに、両者それぞれへの賛同と批判のコメントがついた。その中に、両サイドの意見の噛み合わなさを分析するものがあった。単一民族社会(*)の日本に住む日本人と、日系アメリカ人の違いを指摘するものだ。アメリカでは「日本の文化はヘン」と看做されるのに、白人が真似ると「美しい」とされる。日系アメリカ人はそうした人種社会に生きているため、アリアナが文化の盗用をしていると感じるのだという趣旨だ。
*日本は単一民族社会ではないが、数少ない外国人もその多くは東アジア系であり、詳細を知らない外国人には単一民族国家に見える
アメリカ生まれではないが、アメリカに長年暮らす筆者はこの分析に賛同せざるを得ない。白人モデルが雑誌のグラビアで着物を着ると「エキゾチック」で美しいとされる一方、日系人の子供が学校のランチにおにぎりを持っていくと「キモい」とからかわれるパターンはごくあたりまえにある。こうした経験を持たない日本在住の日本人は、外国人が苦労して日本語を学び、着物を着ると大いに親近感を抱き、「日本を好きになってくれてありがとう」と感謝の念さえ抱く。どちらもそれぞれの生活環境と体験から自然と湧き出る感情だ。
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