新興国でAmazon顔負けの物流ネットワークを確立 隙間時間・隙間空間ビジネスの達人たち

【この記事のキーワード】

サイズの違う物体を混ぜるという「隙間空間」ビジネスモデル

 一方、冒頭に紹介した物理現象と同じ原理のビジネスモデルを提供しているのがビィ・フォワードだ。東京都調布市に本社を置くビィ・フォワードは、日本で調達した中古車をネットで販売し、新興国へ輸出するというビジネスモデルで、2004年に創業された。新興国の奥地まで質の高い日本車を届けるため、全世界45社の現地企業と提携し、世界153カ国に販売実績を持つ。新興国での物流ネットワークはアマゾンも顔負けのダントツ企業だ。なかでも、アフリカで最も売れているという。本社ビルには60人を超える外国人社員が常駐で勤務しており、世界35カ国語で対応している。

 中古車販売をするビィ・フォワードに「クルマと一緒に生活用品も送ってほしい」という想定外の要望が目立ち始めたのが2015年頃のことだ。日本車の人気が高いのと同じように、電化製品や日用品などの日本製品も新興国では大人気なのである。しかし、問題は送料だ。たとえば、アフリカ・ウガンダの顧客から注文を受けて、24インチの液晶テレビを日本から航空便で送ると、365~712ドルと液晶テレビ本体と変わらないコストがかかる。

 ところが、ビィ・フォワードで送ると(船便ではあるが)わずか20ドルで済む。その秘密は、家電や日用品を中古車の座席やトランクに積み込んで運んでいるからだ。まさに「隙間空間」を活かしたビジネスモデルなのである。

 船便ではなく、航空便を使いたい顧客に対しては、UPSやFedExなど国際物流大手の運賃を表示している。実は国際物流大手でも新興国向けの物流実績はそれほど多くない。基本運賃はあるものの、時価のように価格が変動したり、税関手続きで想定外のコストが発生したりする。

 ビィ・フォワードは中古車の物流ネットワークで蓄積したデータを活用することで、そうしたリスクも織り込んだ運賃を顧客に提示している。実際に発生した輸送コストが提示価格よりも高くなっても、顧客に転嫁することなく、ビィ・フォワードが損失を補てんしている。顧客にとっては安心だ。

 隙間時間、隙間空間、このキーワードを突き詰めると、まだまだ新しいビジネスモデルがありそうだ。

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