BTSは「政治化」するグラミー賞の舞台で何を語るのか?

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2018年10月には米TIME誌アジア版の表紙も飾ったBTS

 2月10日(日本時間では11日)にロサンゼルスのステイプルズ・センターで行われる第61回グラミー賞。今回のグラミー賞で話題となっているトピックのひとつが「プレゼンターにBTSが抜擢された」ということだ。

 BTSは『LOVE YOURSELF 轉 ‘Tear’』が最優秀レコーディング・パッケージ賞にノミネートされており、受賞が決まればそこでもグラミー賞のステージに上がる予定だ。

 2018年にBTSがおさめた成功は東アジアのアーティストとして例を見ないものだった。『LOVE YOURSELF 轉 ‘Tear’』『LOVE YOURSELF 結 ‘Answer’』の2枚をビルボード総合アルバムチャートの1位に送り込んだのである。しかもこの2枚は全編韓国語で歌われており、そういった面でも画期的な出来事。こういった人気と業績を考えれば、グラミー賞にBTSが登場するのは至極当然の成り行きとも言える。

しばしば「政治」が争点となる近年のグラミー賞

 グラミー賞の場でBTSがどういったかたちのスピーチを行うのかはいまだ発表されていないが、そこでなにが語られるのかにも注目が集まる。

 近年のグラミー賞は、アカデミー賞と同じく政治的な主張が前面に出ることが多い。

 2017年には、ケイティ・ペリー、ジェニファー・ロペス、ビヨンセといったアーティストらがトランプ大統領の人種差別的な政策を批判するスピーチを行ったり、黒人アーティストに対する冷遇を批判してドレイク、カニエ・ウェスト、フランク・オーシャン、ジャスティン・ビーバーらが賞をボイコットするといった出来事があった。

 また、2018年には、ケシャ、カミラ・カベロ、ジャネル・モネイらによる「#MeToo」「#TimesUp」をテーマにしたパフォーマンスやスピーチに絶賛の声があがる一方、女性アーティストへの不公平な評価が問題となっていることに対して、アワードを主催するナショナル・アカデミー・オブ・レコーディング・アーツ・アンド・サイエンス(NARAS)の会長・ニール・ポートナウ氏が「女性たちはもっと頑張る必要があります」と発言したことが大問題になっている。

 グラミー賞が黒人差別や女性差別に対する意見表明の場になっていることには批判的な声もあるが、マイノリティに対する差別が激化している社会に対して異議を申し立てるのはアートの役割であり、この流れは今後も続いていくだろう。

国連本部でスピーチの場に立ったRM(BTS)が語った言葉

 そういったなかでのBTS登壇は意味のあることだ。

 BTSは昨年9月にニューヨークの国連本部で行われた、すべての若者に質の高い教育、技能研修、雇用を与えるための新たなパートナーシップ「Generation Unlimited(無限の可能性を秘めた世代)」の発足イベントに出席し、スピーチを行っている。

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