男性向けメディアは成熟社会における<男性の欲求>をどのように満たしてゆくか――「ヤレる女子大生」炎上後のメディアの在り方とは

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『労働力の再生産』とは、男性の身の回りの世話(家事・セックス)をして、明日の労働力として送り出すこと、次世代の労働力を産み育てる(出産・育児)ことです。『生産労働』と『再生産労働』は本来は1人のなかでセットになっているもので、『労働力の再生産』は男性も担う義務があります。

 ところが再生産労働は、女性から男性への“無償のサービス”とみなされ、男性はその状態にあぐらをかいて経済力のない女性を支配してきました。『週刊SPA!』もながらくこの構造と観念に乗っかってきたわけですが、しかし、現代では通用しない構造、観念であることは誰の目にも明らかでしょう。

 そのうえで、不特定多数とのセックスを指向することは、結婚、妊娠、出産や家事などの重く鬱陶しい日常的呪縛へと連続する妻や恋人という関係からの、“逃避”があります。日常の内外で、女性を対等な関係を築くべき人間とせず、モノ化する視点があったのです」

――「週刊SPA!」がこれまで、幾重にも折り重なった男性至上主義(メールビジョニズム)の上に成り立ってきたことは、言うまでもありません。しかし、今回の大炎上を経て、「週刊SPA!」はその価値観を改めようとしています。

 対談を掲載した1月29日号、および翌週の2月5日号では、女性蔑視的と指摘され得る特集は姿を消し、代わりに、「早死にしない生き方」「世界同時不況に備えよ!」「70歳まで働く超実践ガイド」などの特集が並びました。「週刊SPA!」に親しんできた読者からすれば、その趣向がガラリと変わったことは一目瞭然だったのではないでしょうか。

 「そもそも、1998年創刊の『週刊SPA!』は、前身の『週刊サンケイ』時代からみれば、若い男性のサラリーパーソン向けに特化して、独自の編集センスを発揮して人気を得てきました。しかし時代が変わり、社会が“女性をモノ化”する公刊物を許容しなくなった。これは社会的成熟であることは間違いありません。『週刊SPA!』もともに進化し、成熟社会における<男性の欲求>をどのように満たしてゆくか、女性の編集スタッフの視点をも交えながら、クリエイトしてゆくしかないでしょう」

――とはいえ、女性やセックスへの希求心そのものが「悪」ではないことも、忘れてはならないと思います。

 「社会心理学者の石川弘義は『雑誌は欲望の乗り物』ということばを残しています。欲望や欲求を認めない潔癖社会は、人間らしさを放棄することにもつながりかねません。セックスや出世、お金もうけ、他者の不幸、ゴシップ、ファッションなど、人々の欲望や欲求に応える役割を果たしているのが雑誌というメディアです。

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