FCがチェーン展開する理由
今から20年近く前になりますが、私はコンビニチェーン本部で約5年間勤務したことがあります。
そこでまず、なぜ企業はFC化をしたがるのか説明します。ひとつは当然ながら、加盟金やロイヤリティなどの利益が得られるからですが、ほかにも理由があります。
たとえばコンビニの場合、1店舗出すには数千万円の資金が必要で、人を雇い育成・管理しなければなりません。自前で出店するには、手間もお金も時間もかかります。銀行から借りるのも限界があります。
しかし、FC方式でオーナーを集めれば、短期間に店舗網を拡大できます。すると、仕入れのパワー、物流の効率化など、規模のメリットが大きくなります。
また、本部は東京にあったとしても、北海道や九州にもビジネスチャンスはあります。しかしそんなに遠くまで手はかけられないという場合、FC方式なら広く店舗網を張り巡らせることができるのです。
あるいは、地元の土地勘や人脈があるのはやはり地元の人なので、そういう人に任せよう、といった場合もあります。たとえば大手自動車メーカーの系列販売店などは、たいていその土地の地元の名士の企業が営んでいます。
もちろんFC本部は絶対に損しないようなビジネスモデルを作りますから、加盟店が儲からなくても本部はそこそこ儲かるという構図があることは確かにそのとおりです。
かつては詐欺的な本部もあり、FC事業での直接的な詐欺ではありませんが、バルチックカレーのように経営者が逮捕された例もあります。ただ、さすがに最近は評判がネットで出回ってしまうため、こうした本部はあまり見られなくなっています。
そもそも加盟店が損をすれば撤退されますから、本部にメリットはありません。それに、加盟店が儲かれば本部はもっと儲かるので、加盟店をぞんざいに扱うことは少ないでしょう。