芸能事務所の残業代不払いに是正勧告、過去にはタレント側の訴えも

【この記事のキーワード】

 こうしたタレントの“ブラック”な働き方の実態については、タレント本人の口からも明かされることがある。2013年にNHK連続テレビ小説『あまちゃん』で人気を得た能年玲奈も明かしている。当時、レプロプロダクションに所属していた能年は、『あまちゃん』の撮影中は睡眠時間は平均3時間で心身ともに極限状態にあったこと、そこまで身を削って働いても月給は5万円しかなかったことを明かしている。能年には、下着を洗濯する時間も買うお金もなく、「明日履くパンツがない」と泣いていたというのだ。

 さらに、同じくレプロプロダクションに所属していた清水富美加は、告白本『全部、言っちゃうね。』(幸福の科学出版)にて、デビューから数年間の収入は月5万円しかなく、NHK連続テレビ小説『まれ』の撮影時も月給12万だったことを暴露している。事務所独立や移籍に際してタレントが事務所から違約金を求められるという話もよく聞く。

 ただし、彼女らの主張が“事実”だとしても、事務所側にも言い分はある。そのタレントがまだ売れていない時代に生活の面倒を見るなど投資しているぶん、売れてから回収するのは当然というものだ。水商売であり、一時的に人気が出始めたからといって、すぐに高給を支払えるわけでもない。そう考えれば、下積み時代の薄給も、売れてからの激務も、仕方のないことなのだろうか。

 また、タレントは事務所に雇用された社員ではなく、あくまで仕事のパートナーとして事務所と契約を結んだだけの個人事業主であることがほとんどだ。実態としてはタレントは事務所の指示に従って稼動し、事務所から給与を支払われており、雇用関係にあると言えるケースが多いが、マネージャーなど事務所の社員に関する残業代不払いなどは正せても、タレントの“搾取”は問いづらい。

 それでも日本のエンタメ業界で働く労働者たちの権利を守る組織は必要だ。この状況を良しとせず動こうとしているタレントもいる。2017年ごろから、俳優の小栗旬がハリウッドの労働組合「SAG-AFTRA」にならい、日本で俳優のための労働組合を立ち上げようとしていると見られている。ちなみに小栗は来年公開予定のハリウッド映画『ゴジラVSコング』に出演する。

 個人事業主といえど事務所に雇用されたイチ労働者に過ぎない日本のタレントたちも、クライアントや事務所と交渉できる、対等な存在になる必要があるのではないだろうか。

1 2

「芸能事務所の残業代不払いに是正勧告、過去にはタレント側の訴えも」のページです。などの最新ニュースは現代を思案するWezzy(ウェジー)で。