特定の食品を過大評価する「フードファデイズム」に注意! 食事のバランスこそが最強の健康法

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 「おじいとおばあの健康長寿の源!」「身体に優しい沖縄伝統野菜」などのキャッチで売られるご当地食材の沖縄野菜。ゴーヤに代表される沖縄野菜「チンゲン菜、からし菜、ゴーヤ、フダンソウ、ヘチマ、ヨモギ、パパイヤ」はビタミンやミネラル、葉酸など栄養価が高いことで知られている。このため、心筋梗塞や脳卒中を予防にすると言われてきたのだが、実は明白なエビデンスは見当たらないとの研究が発表された。

 国立がん研究センターなどが約1万6千人の日本人男女を対象に行った多目的コホート(JPHC)研究解析によると、「沖縄野菜を多く摂取しても心筋梗塞と脳卒中の予防効果は期待できない可能性がある」という。この研究成果は、「Journal of Epidemiology」1月12日オンライン版に発表されている。

沖縄野菜の摂取量と心筋梗塞・脳卒中の発症リスクは関係ない?

 沖縄野菜の摂取量と心筋梗塞や脳卒中の発症との関連を検討した大規模な追跡調査はほとんどない。

 研究グループはJPHC研究に参加した40歳以上の男女約1万6,000人を長期にわたり前向きに追跡したデータを用いて研究を重ねた。

 研究では、ベースライン時とした1995年に沖縄県中部、1998年に沖縄県宮古の2地域に在住し、心筋梗塞や脳卒中などの循環器疾患とがんの既往がない45~74歳の男女1万6,498人を2012年まで追跡した。

 ベースライン時の138項目の食物摂取頻度調査票への回答から、参加者の7種類の沖縄野菜(チンゲン菜、からし菜、ゴーヤ、フダンソウ、ヘチマ、ヨモギ、パパイヤ)の摂取量を評価し、参加者を沖縄野菜の摂取量で3群に分けた上で、心筋梗塞と脳卒中の発症率を比較検討した。その結果、約13年の追跡期間中に839人が脳卒中を発症し、197人が心筋梗塞などの虚血性心疾患を発症した。

 年齢や性、飲酒や喫煙などの生活習慣などで調整した解析でも、沖縄野菜の摂取量と心筋梗塞および脳卒中の発症率との間に有意な関連はみられない事実が判明。沖縄野菜の種類別に解析しても有意な関連はなかった。

 以上の結果から、研究グループは「沖縄野菜の摂取量は、心筋梗塞や脳卒中の発症リスクと関連しない」と結論づけている。

 一方で「今回の研究は摂取量が最も少なかった群でも比較的多く摂取しており、このことが原因でグループ間の差が見えにくくなった可能性がある」と指摘。また、沖縄野菜の摂取量の評価も妥当性が十分ではなかったことも原因として考えられるとしている。

沖縄野菜は高血圧や生活習慣病予防に有効?

 このような大規模なコホート研究は極めて稀なので、予防効果の確証も難しい。今回の研究と多少研究デザインが違うのだが、高血圧や生活習慣病と沖縄野菜の摂取量の関係を研究したものもある。

 琉球大学医学部の等々力英美准教授らが行った「沖縄特産緑黄色野菜による生体内抗酸化栄養素及び酸化ストレスマーカーに与える影響2006〜2007年」を見てみよう。

 研究によると、沖縄在住の20~60歳代の女性、夫婦、米国人男女、横浜東京在住40~60歳代夫婦の合計700名を対象に「沖縄野菜を主体とした沖縄型食事介入による無作為割付比較試験」を行った。

 その結果、沖縄野菜を豊富に取り入れた“伝統的沖縄型食事”はダイエット法としても知られている“欧米型DASH食”と異なる手法でありながら、高血圧の予防に有効である可能性があり、食事パターンに取り入れることによって生活習慣病の予防や治療の有効な戦略となりうるとしている。

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