莫大な不妊治療の費用
不妊治療には場合によっては多額の医療費がかかることも忘れてはならない。NPO法人Fineの調査によると、通院開始からの治療費の総額は「100万~200万円未満」(24.8%)、「200万~300万円未満」(15.2%)、「300万~500万円未満」(10.6%)と、5割以上の夫婦が不妊治療に100万円以上を払っていることになる。
2017年に発表された調査結果によると、妊娠全般にかかった費用は約35万円という平均結果に対して、人工授精・体外受精・顕微授精のいずれかを経験した夫婦に限ると、平均費用は約134万円まで跳ね上がる。治療費が家計の負担になることは明らかだ。
少子化、そして晩婚化が進むなか、厚生労働省は、妊娠が難しいと医師に診断された夫婦に対し、体外受精や顕微授精などの不妊治療に要した費用を1回の治療につき15万円までを支給する助成金を設けている。また、各地自治体においても独自の補助金・助成金制度が定められているところは多くあり、これは不妊に悩む夫婦を後押しするための制度だ。
しかし、株式会社F Treatmentの調査によれば、「国や都道府県による不妊治療に関する補助金・助成金の利用はあるか」との質問に、「補助金・助成金があることを知らなかった」(32.4%)と、そもそも存在さえ知らないという回答が3割以上も寄せられている。また、「補助金・助成金があることを知っているが、手続きの仕方が分からないため、利用したことはない」(32.4%)「補助金・助成金があることを知っているが、手続きの仕方が面倒なため、利用したことはない」(7.6%)という回答も多く見られた。
不妊治療への取り組みは、子どもを望む夫婦一人ひとりの意識が必要であることはもちろん、補助金や助成金制度の周知徹底を含めた社会の働きかけも求められるだろう。
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