スマートウォッチだけじゃないウェアラブルデバイス市場の拡大 注目端末は?

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「現在の人口動態や世帯構成を背景として、新たな需要が高まっていくはずです。核家族化や単身世帯の増加によって、実家には年老いた親しかいないというケースが増えていますが、離れたところに住まう親にウェアラブルデバイスを着けてもらい、健康状態や安否を確認するという活用法が一般的になっていくでしょう。このように、高齢化が進んでいくことで、ウェアラブルデバイスを健康管理や見守り、介護で活用するという場面が増えていくと予想しています。

 また産業用で言えば、建築現場などの様々な作業現場での健康チェックのツールとして、使われるケースも増加すると思います。作業員が突然現場で倒れたりしないように、健康状態を常にチェックしておきたいという需要と、ウェアラブルデバイスの特性が合致します。

 そして今、最も普及の兆しを見せているのは、“技術の伝承”への活用です。団塊の世代が引退し、戦後ずっと受け継がれてきたものづくりの技術が、途切れてしまうというケースが出てきていますが、貴重な技術をどう伝承していくかを考えたときに、ウェアラブルデバイスの有用性に注目が集まるわけです。

 たとえばヘッドマウントディスプレイをかぶったり、眼鏡型のウェアラブルデバイスをかけたりすることで、デバイスを通じて作業手順や技術のコツを見せ、伝えていくこともできます。

 こういった労働現場での健康管理であったり、作業手順を教えて技術を継承していくというような、産業分野でのウェアラブルデバイスの需要が、今後もっとも成長していくだろうと言われています」(片山氏)

ペット用のデバイスも登場、プロスポーツのデータ収集にも活用

 また、昨今のウェアラブルデバイスは、ユニークな活用法にも注目が集まっているようだ。

「愛犬家や愛猫家からの関心が高いのは、ペットに着けるウェアラブルデバイスです。『ペットは家族』と考える方はたくさんいますから、ペットの健康管理に有効な首輪型ウェアラブルデバイスなどの需要が増加しているのです。

 また、プロスポーツの分野でも面白い使われ方をされています。ラグビーやサッカーなどで、ユニフォームにセンサーを付けて、脈拍や心拍の状態のデータを収集するチームは少なくありません。さらにGPSと連動させて、一人の選手がどれだけ動いたか、どれぐらいのスピードが出ていたかといったデータを集めて、選手の弱点や特徴を見つけるという活用方法もあるようですね。

 また、選手側のデータ収集に活用するだけではなく、エンターテインメント性の向上にも、一役買うでしょう。たとえば、選手が小型カメラを頭などに着け、臨場感のある選手の動きをテレビ画面上に映し出すといったことも、今後ますます進んでいくと思われます」(片山氏)

 さまざまな用途で可能性を見出し、市場拡大が期待されているウェアラブルデバイスだが、いくつか課題も残っているようだ。

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