
『いだてん』公式サイトより
宮藤官九郎が脚本を担当するNHKの大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』(以下、『いだてん』)がさらに苦しい状況に立たされている。
2月17日に放送された第7回の平均視聴率は9.5%(ビデオリサーチ調べ)だった。『いだてん』は第6話で「大河ドラマ史上最速の1桁台(9.9%)陥落」という不名誉な記録をつくってしまっているが、今回はさらに数字を落としたことになる。
『いだてん』の低視聴率を扱う記事も玉石混淆ありつつ多数出ているが、そのひとつの内容の真偽について、演出スタッフとしてドラマに参加している映画監督の大根仁氏が異議を申し立てた。
『いだてん』の視聴率に悲鳴が起きたと伝える記事
ニュースサイト「日刊ゲンダイDIGITAL」は2月16日に「大河史上最速で視聴率1桁転落…「いだてん」を襲うNHKの包囲網」と題された記事を配信している。
この記事では、「制作関係者」が、『いだてん』第6回の視聴率が発表された瞬間、編成局やドラマ担当者から<悲鳴にも似たどよめき>が起こったと伝えており、その衝撃は<ある幹部は頭を抱えてその場にヘナヘナと座り込んでしまうほど>であったと語っている。
さらに、「NHK関係者」は<今後は打ち切りについても真剣に検討する必要性もあるということです>と証言。
そして記事では、NHK側による脚本チェックも始まっていて、上層部からは<登場人物を整理せよ>との指令まで飛んでいると書かれている。
これに対し、大根仁監督はこのようにツイートした。
<おかしいなあ。どよめきも悲鳴も無かったし、頭を抱える幹部なんていなかったし、脚本チェックも無いし、登場人物に口を挟んでくる局上層部もいませんよ日刊ゲンダイさん!(制作関係者w)>
NHKは『いだてん』の視聴率は気にしないと宣言している
『いだてん』に関しては放送開始前から不評の声が多かった。その要因のひとつは、『いだてん』が現代劇であるということだ。大河ドラマが近現代を扱うのは橋田壽賀子が脚本を担当した『いのち』(1986年)以来であり、題材選びの時点ですでに従来の大河ドラマの視聴者からの反発は強かった。
さらに、宮藤官九郎の脚本の持ち味は展開の早いストーリーや情報量の多さであり、そのスピード感についていけずに視聴を断念するシニア層の視聴者が多いとの評価もある。
ただ、NHKにとって大事なのは、一回一回の視聴率の上下ではなく、むしろ、内容や、作品全体としての評価なのだろう。というのも、1月23日に開かれた定例会見で木田幸紀放送総局長は、<1回1回のリアルタイム(視聴率)はそんなに気にはしていません>と明言しているからだ。
木田放送総局長は、<宮藤官九郎さんの脚本の世界は凄く面白かったという人と、わかりにくかったという人の意見が交錯する。思い出せば『あまちゃん』の始めの方もそんな感じだったなと>と、過去の宮藤官九郎脚本作品のデータを参照したうえで、<宮藤脚本はすでにいろいろな仕掛けが張り巡らされているんです。先にいくと、これはあの時はあれがこうなってたのかとなる。おそらく今回もそうなっていると思う。1回見てすべてが分かるものではない。あとで戻ってみてもらうという、そういう楽しみ方になるのかなと>と、『いだてん』を分析。そのうえで、<1回1回のリアルタイム(視聴率)はそんなに気にはしていません>と語っている。
1 2