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スナックブーム再燃の理由は、人々に必要なサード・プレイス足り得る場所だからだ

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「Getty Images」より

 近年、スナックブームが起きている。それも、ノスタルジーを求めた懐古趣味ではなさそうだ。

 というのも、古くから続く昭和の香り漂うスナックだけでなく、新しいスタイルのスナックまで幅広く人気があるためだ。しかも、特に若い女性が足繁く通っているという。いったいどのようなブームなのか。

スナックとは何か?

 ブームになる前は、まるで存在自体が忘れ去られていたかのように、スナックという言葉を耳にすることが少なくなっていた。もちろん、町を歩けばいたるところでスナックの看板は目にしていた。しかしそれは、時代に取り残された過去の残照のように、メランコリックな風情を漂わせていたものだった。

 しかし近年、ブームとなるや、あちらこちらで「スナック」という言葉がカジュアルに使われ出した。バーでもクラブでも、居酒屋でもない。「スナック」がブームなのだ。

 それでは、スナックとはどのような店を示すのか。まず、スナックとは、軽食や夜食のことを指す。そう、あのスナック(snack)だ。この軽食をアルコール飲料と共に提供するお店という意味で、「スナック」というお店のジャンルができた。

 ただ、店内の情景としては、「ママさん」と呼ばれる女性がカウンター越しにお客さんにアルコール類を出しながら他愛もない会話をする接客風景が浮かび、バーやラウンジ、キャバクラとの違いは曖昧である。

 実は、バーとの違いは微妙だ。どうやら決定的な違いはなく、強いて言えば、スナックにはカラオケがあること、スナックの料理はおまけ程度の簡素な品揃えであること程度のようだ。

 ただ、届出上は深夜酒類提供飲食店営業となるため、風営法の規定により、風俗営業を兼ねることはできない。

 これにより、女性が隣に座って接客することはできないため、ママはカウンター越しに接客する。ここはラウンジやキャバクラとの法的な違いとなる。

スナックの流行と衰退

 スナックの発祥は米国のスナックバーだといわれているが、どうやら本家ではアルコール以外も扱っているので、やはり日本のスナックは独特なもののようだ。

 古いスナックにノスタルジーを感じるのは、その始まりが高度経済成長期という古き良き時代だったことにも関係しているのかもしれない。

 この頃は女性の社会進出の一形態としてスナックがあり、「スナックは女性が経営するもの」というイメージが付いていた。そして、経済成長の波に乗り、より良い明日のためにがむしゃらに働いた人たちにとって、仕事帰りに立ち寄れる癒やしの空間だった。

 ただ、誕生した当時のスナックには、まだカラオケはなかった。カラオケがスナックに付きものとなるのは、1970年代を待たねばならない。

 カラオケが普及し始めた当初は、カラオケといえばスナックで、あくまで酒席の余興として楽しまれていたのだ。純粋に歌を楽しむことが中心に変わったのは、1980年代半ばにカラオケボックスが誕生してからになる。

 さて、このように盛り上がっていたスナックだが、カラオケボックスの台頭や、キャバクラなど多様な形態の店が増えたこと、そして古くからの馴染みの客が高齢になったところに、1990年代のバブル崩壊などが重なり、全盛期を終えて衰退していくことになる。

スナックよ再び

 ところが近年――具体的に何年頃からかわからないのだが――スナックブームが再燃し始めているという。

 それを裏付けるように、スナックに関する本も出版されている。スナック関連の本が出始めたのは2003年頃だが、出版頻度が高くなるのは2014年頃だ。このあたりがスナックブームの始まりかもしれない。一例として、玉袋筋太郎氏は2014年に『スナックあるある この素晴らしき魑魅魍魎の世界』を、2017年に『スナックの歩き方』を相次いで出版した。出版業界もスナックブームの到来を感じ取り、スナック関連本の市場があるとの手応えを得たからこそといえよう。

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