絶対に間違ってはならない「名数(めいすう)」
ここで、聞き取りの中で最重要ともいえる「名数(めいすう)」について説明しておこう。これは謝罪にだけ必要なものではなく、一般的な報告時にも重要なことだといえる。
「名数」とは、名前や地名、固有名詞、そして人数や年月日、量など、「名」や「数」で表されるもののことを言う。私は「竹中功」であって「竹内功」ではないのである。3月1日に起こった事件があれば、それは3月3日ではないのである。
「名数」が間違っていると、まったく違う人物や誤った日時になってしまう。そうなったら目も当てられない。おおよそとか大体ではなく、それらは正確に表現できるものだからだ。
実際に報告の場でその間違いが明らかになった場合、対処の方法をすべて見直したり、発言をすべて撤回したりしなければならないこともあり得る。「名数」とは、それほど間違ってはならない「データ」なのである。
もし「名数」を間違ったのが記者会見や株主総会などの場であったなら、その人は人格すら全面的に否定されかねない。合っていて当たり前のこともまともに伝えられない人として評価されてしまうのだ。小さな報告書であっても同様だということはご理解いただけるだろう。
「謝罪」をせねばならなくなった時、「事実」を曲げたりウソが含まれたりすると、一からやり直しになる。「真実」を手に入れる努力を惜しんではならない。これは「謝罪」に限らず、上司への報告時にも使える「処世術」であるともいえる。